大学生活を送りながら、一般社団法人こどもの笑顔弁当で活動をされている東大生の鴫山泰仁(しぎやまやすひと)さん。第2回目は鴫山さんご自身についてのお話や、社会活動に対して若者目線での考えをお伺いしました。
●こどもの笑顔弁当に携わっている方々のインタビュー
笹裕輝さん:
“世の中に明るいニュースを届けたい”コロナ禍でスタートした活動
みんなの思いがつまった幸せのスパイラル
一人でも多くのお母さんに笑顔になって欲しい
小さな幸福体験を積み重ねていくことの大切さ
MASSATTACKさん:
自分にできることは何か?模索する中で始めた寄付の活動
多方面へアプローチするのが僕の役割
寄付をしないことがダサいとされる世の中にいつかなるかもしれない
お金ではないものに価値を見出す時代へ
鴫山さんについて
-鴫山さんはご自身のことをどのような人間だとお考えでしょうか?
自分を一言で表すと0-100(ゼロヒャク)の人間だと思います。何かに100%コミットして他のことがなおざりになる性格ですね。その性格から、完璧主義であったり一番になるといったことを求めがちだと思います。自己分析ツールで見ても達成欲や社交性、競争性はありますが、慎重さはあまりないという結果になりました。
– 東大を目指したのはなぜですか?
そこまで真面目なタイプではありませんでしたが、あるときから生きることについて考え始めたんですよね。そこから少しずつ成績が上がり、また先生からの後押しもあって進学に踏み出せました。また、あまり記憶にはないのですが、開業医だった父への憧れもあったように思います。ただ、周りからもったいないと言われますが、大学はいずれ辞めるつもりです。勉強しながら起業するのではなく、辞めたからこそ見えることもあるのかなと思っています。
– 充実しているなと感じることはありますか?
今は興味があることに対して何事にも必死でやれているので、とても充実していると感じています。自分はまだまだ未熟で、知識をインプットする段階にあると思っていて、全く知らないことに対して興味があります、メタバース*だったりWeb3*であったり最先端の分野の先が読めないところが面白いんですよね。
*メタバース:コンピュータやコンピュータネットワークの中に構築された、現実世界とは異なる3次元の仮想空間やそのサービスのことを指す。-Wikipediaより
*Web3:パブリック型のブロックチェーンを基盤としたインターネットの概念である。-Wikipediaより
若者視点からみた現代社会
– 日本の社会課題の現状について、どのような思いを抱いていますか?
そもそも実態がよく分からないものだと思います。僕も色んなところへ顔を出すようになって、CO2や貧困の問題を知りました。ぼんやり知っていることでも、現地へ行ってみないと分からないことって多いですよね。社会課題の現実がみんなにうまく伝わらず、知識はあるけどよく分からないという状態に陥っているのではないでしょうか?
若い人たちは競争社会をずっと生きていますよね。テストや就職活動、そしてSNSのフォロワー数に至るまでずっと競争しています。では、40歳になってもまだ戦っていくのかと考えたときに、高め合うという意味での競争はいいと思いますが、人間同士が争うのは少し違うのではないかと感じています。同じ星に生まれて、その環境に問題があるのであれば、みんなで協力していくべきではないでしょうか。僕はそういった事実に若者にもっと気づいてもらいたいなと思っています。
– 社会活動へマイナスの評価をする風潮に対してはどうお考えでしょうか?
僕はこれまでお金に対して、あまりいい印象を持っていませんでした。価値を提供されてお金を払うという順番のはずなのに、お金ありきになっているように感じられたからです。お金を稼いでいる人がすごいと思われる世の中に対しても、疑問を感じていました。
このような問題も、お金が綺麗に見えれば解決されるのかなと思います。価値を提供したことによって、その価値に見合うお金をもらえるというように、お互いが与えあえる関係や協力しあえる関係といった意識をみんなが持てるようになると、社会活動への疑念も減ってくるのではないかなと思います。
今後について
– 中長期的な視点でやりたいことはありますか?
これまでの自分を振り返って、僕はそこそこ恵まれていると思っています。東大に入れる頭脳であったり、スポーツの成績が良かったり、そして人間関係においても同様です。それらを踏まえて、自分ができることで他の方ができないことをやっていくのが、僕の生きる理由ではないのかなと感じています。
自分にしかできないことは何だろうと考えたときに、人に影響を与えることではないか、と思うようになりました。家族がいて、友人がいて、そしてその友人がいて…どんどん影響の輪が広がっていきますよね。そうなったときに、どこまで影響を与えていけるかが課題だと感じていて、何らかのインフルエンサーになれればいいなと思っています。
メディアで発信をするのか、起業してビジネスをするのか、それともビジネスもやりつつ発信をして影響を与えるのか、本当に色んな形があるので最近はずっとそのことについて考えています。
– 最後に読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
このようなメディアを見てくださる方は、社会課題に取り組まれている方が多いのではないかと思います。皆さんのご支援によって、本当にたくさんの人が救われていることを実感しています。これからもそのような活動をぜひ継続していただきたいですし、ご自身のことを誇りに思っていただけたらなと思います。
そして、まだ活動はしていないけれど、興味があるという方もいらっしゃるかと思います。興味を持っていただいたことに、まずは感謝の気持ちを述べたいです。そして、そんな皆さんにお伝えしたいのは、見ているだけでは世の中は変わらないし、変えられないということです。SNSの風潮を見ると、今の人たちは受動的になっているのではないかと感じています。例えばTikTokやYouTubeなどは、その人に合うものをどんどんおすすめしてくれるので、自分から情報を取りにいく必要がありませんよね。今の人は行動力が減ってきているのではないか、と母校の先生も仰っていました。行動してみて初めて気づくこともあると思いますので、これから一歩踏み出してもらえるととても嬉しいです。特に若い方に対しては、自分がパイオニアとしてやっていければなと思っているので、僕について来ていただきたいなと思っています。
今回のインタビューでは、若い人だけでなく大人世代も見習うべき点がたくさんあったように思います。社会活動に年齢は関係ないと深く感じました。これから先、どのような進路をたどるのか、今後の鴫山さんのご活躍を楽しみにしています。