一般財団法人日本寄付財団の助成先の一つである一般社団法人 障がい者自立推進機構が主催するパラリンアートカップ2022の表彰式が行われ、日本寄付財団のアンバサダーである蝶野正洋さんがプレゼンターとして出席されました。表彰式後は障がい者自立推進機構理事を務めているタレントの中山秀征さんをMCに迎え、豪華なプレゼンターのみなさんによるトークセッションが行われました。この記事では、パラリンアートカップ2022の表彰式の模様や出席されたみなさんのコメントについてご紹介します。

パラリンアートカップとは

出典:paralymart.or.jp

パラリンアートカップはスポーツをテーマに絵画アート作品を募集し、受賞作を表彰式や展示会などで企業・団体・個人に広め、障がい者の自立支援を目的としています。第7回目となる今年は『「SUPER START」圧倒的スタートを切って今動き出す!』をテーマに全国から154点のアート作品が集まりました。予備審査を通過した上位29作から審査員代表のキュレーター櫛野展正さんらの選考によりグランプリをはじめ上位作品が、そして漫画家の高橋陽一さんとサッカー元日本代表の北澤豪さんによって個人賞が選出されました。そのほか、日本寄付財団賞や野球やラグビーなどの各スポーツの選手会賞も選出されました。

パラリンアートカップ2022表彰式

協賛している日本寄付財団の高丸理事より、オープニングの挨拶が行われました。表彰式では障がい者自立推進機構理事の中山秀征さん、参議院議員の今井絵理子さん、日本障がい者サッカー連盟会長の北澤豪さん、日本寄付財団アンバサダーの蝶野正洋さん、漫画家の高橋陽一さんらがプレゼンターとして登壇され、受賞者のみなさんとの交流を図りました。表彰式後はプレゼンターのみなさんによるトークセッションが行われました。

日本寄付財団 高丸理事挨拶

日本寄付財団はコロナ禍で立ち上がったまだまだ若い財団ですが、世界平和をテーマに「maaaru」という主に世界で教育を受けられない子どもたちのために学校を作るプロジェクトを行っています。そうした中で、財団として世界中に学校を作るだけではなく、日本国内の社会課題にも関わっていきたいと感じていました。今回、このようなパラリンアートという素敵な取り組みに協賛という形で関わることができ嬉しく思います。実りある表彰式になることを祈念いたします。

表彰式の様子

日本寄付財団賞を受賞したのは、今脇健太さんの『波を乗りこなす』というサーフィンをモチーフにした作品でした。今脇さんは「名誉ある日本寄付財団賞をいただき賞の重みと責任を感じています。『波を乗りこなす』というタイトルのようにこれからも創作活動を行っていきたいと思います」と感想を述べました。

グランプリは、女子体操をモチーフにしたサトウモトコ(桃太郎)さんの『全身全霊』という作品です。サトウさんへは、賞状と賞金10万円、そして純金製のシャーレがプレゼンターの中山さんより贈呈されました。

サトウさんは「障がい者手帳を手にした、いろいろなものを諦め続けていた頃に絵を描くことをスタートしました。あの頃の自分に、描き続けたことで見える別の景色があるよと伝えたいです」という喜びの言葉を述べました。中山さんは、「サトウさんの躍動感のある作品は、前向きにより頑張ろうというプラス思考の気持ちになれるので、まさに今この時代に必要ではないかと思いました。」とコメント。

その他の受賞作品についてはこちらをご覧ください。

https://www.asahi.com/sports/events/pacup/2022.html

トークセッション

トークセッションは、「SUPER START 圧倒的スタートを切った瞬間」をテーマに繰り広げられました。『キャプテン翼』の漫画家の高橋さんは、漫画家になりたいと思って高校を卒業したときがその瞬間だと回答しましたが、実は元々は野球が好きだったと告白し、会場を驚かせる場面がありました。

今井さんは、SPEEDとして活動を始めたとき、母親になったとき、そして国会議員になったときの3つのスタートのエピソードを披露。現在は2025年に日本で開かれるデフリンピック(耳の聞こえないアスリートのためのオリンピック)に向けて奔走されているそうです。

北澤さんは、このような表現を発表する場こそが、時間を共有する混ざり合う社会が作り上げられていく基礎になるのではないかとコメント。蝶野さんは、応募作品のレベルの高さに言及し、絵の下手な人でも参加できるものもあったらいいなと期待を語りました。

中山さんは、「みなさん全員に賞をあげたい気持ちでいっぱいですが、次回またチャレンジしていただきたいですし、我々もいろんな舞台を用意していきたいなと思っています」とトークショーを締めくくりました。

プレゼンターの思い

表彰式後、プレゼンターの皆さんへ個別インタビューを行い、コメントをいただきました。

蝶野正洋さん

アートは正直あまり分かりませんが、本当に素晴らしい作品ばかりでした。参加する前はパラリンアートという存在を知りませんでしたし、障がい者の方が描いたということも言われないと分からないくらいレベルが高く、みなさんの才能を感じることができました。自分が知らない世界がまだまだたくさんあるので、社会的弱者の方、そこには子どもたちや高齢者の方もいれば、障害や病気を持っている方もいらっしゃるので、幅広くケアしていかないといけないなと感じています。

今井絵理子さん

障がい者の方の自立支援に必要なことは様々あると思いますが、例えばアートやスポーツといった分野で、もう少し活躍できる場所や環境を整えていくことが大切だと思います。また、それらをサポートする方々の育成も必要になってくると感じています。障害の種類によって支援の方法は様々ですので、今後きめ細かな対応ができるようにしていきたいなと思っています。

北澤豪さん

どの作品もコメントを聞きたくなるぐらいメッセージがあるものばかりで、その創造性が共感させることに繋がると感じています。そういった面ではアートとスポーツは共通点があるなと参加するたびに思います。自分を表現することにアートだけではなくぜひスポーツも利用してほしいですね。高いレベルでなければいけないわけでは全くありませんので、遊びの延長でもスポーツを通じて何か表現していただけると嬉しいです。

高橋陽一さん

本当に多くの作品が送られてくるので毎回審査するのを楽しみにしています。今回選ばれなかった方の中にも素晴らしい作品がたくさんありました。僕の感性で選ばせていただいてるので、入選しなかったからダメだというわけでは決してありません。ぜひまた次回以降も作品を作り続けてほしいなと思います。今後スポーツを描いた作品に限らず、このような発表の場が開かれていくことを期待しています。

中山秀征さん

どの作品がグランプリになってもおかしくないような非常にハイレベルな戦いだったかなと思います。このような取り組みが広がるためにはまずは知ってもらうことが必要です。メディアの責任でもありますし、あとは周りの方が伝えてくださることで作り手は増えていくのではないでしょうか。障害を抱えている方は大変な思いをしていらっしゃる方が多いと思いますので、みなさんにとって目標と夢と発表の場が大切だと感じています。ただ自分だけではなくて人に見てもらうことも大事だと思いますので、みなさんの才能をどんどん表に出してほしいですね。

素晴らしいパラリンアートと、そのアーティストやプレゼンターのみなさんの活気にあふれる表彰式でした。来年のパラリンアートカップではどのような作品が集まるのか今から楽しみです。