ひとり親家庭に無償でお弁当を届ける、一般社団法人こどもの笑顔弁当を運営する笹裕輝さん。その活動内容と活動を始めるきっかけについてお話を伺ってきました。

こどもの笑顔弁当とは

-現在の笹さんの活動の内容とその活動を始めるきっかけについてお聞かせください。

現在、一般社団法人こどもの笑顔弁当を運営をしており、東京都内11区*のひとり親家庭の皆さんに無償でお弁当を届けるという活動を行なっています。

*現在のお届け対象区域:江戸川区、葛飾区、足立区、千代田区、港区、新宿区、豊島区、品川区、大田区、世田谷区、目黒区

僕が活動を始めたのは2020年のコロナ禍がきっかけです。

元々、六本木でカジュアルレストランを経営していましたが、コロナウイルスの流行によって、リモートワークに切り替わっていく様子に危機感を抱いていました。そのような混乱の中で、幸運にも銀行から融資を受けることができたので、社員たちと”自分たちにできることは一体何だろうか?”と模索を続けていました。

・食事の提供ができる
・若いスタッフがいる
・世の中に明るいニュースを届けたい

僕たちにできることを組み合わせて、ひとり親家庭に1ヶ月間お弁当を配達することを決めました。

これが今の活動の原点、INGプロジェクト2020*です。

*INGプロジェクト2020:世の中で新型コロナが多大なる影響を及ぼした2020年の4月、六本木のカジュアルイタリアン「Noza Caza(ノザカザ)」を運営する株式会社SASAは、「(I)飲食店が(N)日本を(G)元気に」と、ひとり親家庭に支援者様からのメッセージ付きお弁当を無償配達する「INGプロジェクト2020~お弁当でひとり親家庭の力に~」を立ち上げました。このプロジェクトは代表の笹自身が母子家庭で育った経験から、コロナ禍で困窮するひとり親家庭の力になりたいと始めたものです。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000056841.html

こどもの笑顔弁当になるまでの変遷について

– 当初1ヶ月の予定で始めた活動が、形を変え今もなお継続されているとのことですが、そこにはどのような流れがあったのでしょうか?

当時たくさんのメディアに取り上げていただき、多くの支援金が集まりました。活動を通じて、世の中に困っている人はこんなにもいるのかと、その実態を目の当たりにして、もうやめられなくなったというのが正直なところです。

またひとり親家庭だけでなく飲食店も疲弊していました。お弁当を買うことによって飲食店の支援もできるため、活動を継続することを決めました。そして続けていくうちに、良い循環が出来上がっていくことを感じられるようになりました。

しかし8ヶ月くらい経った頃、ある疑念が浮かび上がってきたのです。

・僕たちの活動が自立の妨げになっているのではないか
・ひとり親家庭が抱える問題の根本解決にならないのではないか

以上の点を踏まえて、これまでの活動に卒業というテーマを盛り込むことを決めました。

申し込み者と面談を行って終了の期間を定めることにより、自立のお手伝いをする。これまでの広く浅くから手厚いサポートへシフトし、2020年11月、現在の活動の前身であるhottokenine(ホットケナイン)を始めました。

しかし、ここでも問題が起きたのです。サポートを手厚くしてしまったために、お届けできる数が格段に減ってしまいました。これではメディアとしての自分達の役割を果たすことができず、支援金を集めにくい状況に陥り、結果負債を抱えることになりました。

そこで再び事業モデルの見直しを図ることとなり、2021年12月、広く周知しつつも、本当に困っている人に手を差し伸べる方向へシフトしました。それが現在のこどもの笑顔弁当の始まりです。