「必要とするすべての人が、義肢装具を手に入れられる世界を作る」という熱いビジョンを掲げ、フル3Dプリント技術により、超安価な義足提供を実現した企業をご存知ですか。
義足が高価なため、購入することのできなかった途上国の障がいのある人たちに義足を提供し、義肢装具不足の社会課題に取り組む【インスタリム株式会社】をご紹介します。
インスタリム株式会社とは
会社概要
インスタリム株式会社は2017年3月に設立されました。代表取締役CEOは徳島泰さんです。事業内容は、3Dプリント技術による義肢装具および装置、材料の開発や製造そして販売になります。
インスタリム株式会社は、開発途上国の貧困層の障がいのある人たちに、3Dプリンタで製作した義足を提供するという世界でも画期的なビジネスを展開。オフィスは日本とフィリピンにあり、高品質な3Dプリントで製作した義肢装具を世界中の必要な人々に届けています。
高品質な3Dプリントで誰でも低価格な義肢装具を
注目の3Dプリント技術とは?
3Dプリントとは「積層造形法」とも呼ばれ、3次元ソフトウェアで作成したデータを元に、素材を重ねて層にすることで立体的なオブジェクトを作成します。現在、医療機器などさまざまな分野に応用されており、注目されている技術です。
インスタリム株式会社の3D プリント技術
インスタリム株式会社ではAI(機械学習)を活用しています。
さらに義肢装具を作成するための専用の3D-CADソフトと、3Dプリンタを組み合わせ、世界初の独自の義肢装具のカスタム量産ソリューションを開発しました。従来の義足は一本およそ30〜100万円という高価なもので、納品にも2〜3週間ほどかかります。
しかしインスタリム株式会社は、従来品と比較して10分の1ものコストダウンを実現し、義足が高価すぎて手の出せなかった層にも購入する可能性を広げました。
また、コストダウンとともに納期や装具製作の研修が短期間になるという利点があるため、開発途上国を含めた義肢装具を必要とする人たちへの普及を容易にします。
開発途上国であるフィリピンと共同研究
フィリピン大学総合病院と共同研究で実証試験を終了し、医学的なエビデンスも取得しています。フィリピンでは糖尿病患者を中心に180万の人が義足を必要としていると言われていますが、実際に義足を所有できるのはそのうちの5万人程度です。
インスタリム株式会社はビジネスモデルとして、まずはフィリピンの中高所得者をターゲットに低価格義足販売を開始しています。
なぜ低価格にこだわるのか、その思いとは
インスタリム株式会社では、あくまでも低価格の製品開発にこだわっています。その理由は一体なんなのでしょうか。代表取締役である徳島さんの思いをご紹介します。
きっかけはフィリピンで出会った糖尿病性壊疽の患者
徳島さんが義足開発への思いを抱き、事業を開始したのには、青年海外協力隊員時代にフィリピンで出会った糖尿病性壊疽患者の存在があります。
その患者は壊疽で足先から骨が見えているような悲惨な状態でした。しかし満足な治療も受けられず、義足を購入することなど到底不可能な状況のなか亡くなったのです。
フィリピンでは、貧困による栄養不足で糖尿病に罹患する人が多いにも関わらず、病が進行し足を失っても高価な義足を購入できない人がほとんどです。
徳島さんは大勢の障がいのある人が、必要とする義足を手に入れることができず、貧困に飲み込まれ、社会の片隅に追いやられることに強い憤りを感じました。
そしてこの問題はフィリピンだけではなく、世界中の問題であると考えたのです。徳島さんは、この世界的な社会問題を解決するために、仲間とともに4年をかけて、超低価格な義足を制作するためのソリューションを開発し、義足の提供を開始しました。
インスタリムユーザーの喜びの声
実際にインスタリム株式会社の義足を使用したユーザーからは多くの喜びの声があがっています。ここにその一部をご紹介しましょう。
「とても軽くて、使いやすいです。快適で、ゆるむことがなく、ジャストフィットしています。なので、いつも使っています。本当の足のような形で、もう周りからからかわれたりしません。とても満足してます。」
再び立ち上がり笑顔を取り戻すソリューション
インスタリム株式会社は自分たちの新たなソリューションが、世界の開発途上国や新興国の義足を必要とする多くの人たちに、希望を届ける技術であることに大きな自信を持っています。
病気により足を切断するという不幸にあったとしても、義足により立ち上がり、多くの人が再び笑顔になる世界を実現するため、インスタリム株式会社は未踏の領域へチャレンジを続けます。