「寄付金が節税に繋がる」といった話を耳にしたことがある方も多いかもしれません。とはいえ、寄付が節税に繋がるとは一体どういうことなのか具体的に知っている人はあまりいないですよね。そこで、今回の記事では寄付が節税に繋がる「節税控除」やその他留意点についてまとめてみました。
寄付に寄付金控除が適用できる場合がある
寄付金控除とは、個人が特定団体に寄付をした場合に住民税や所得税の控除を受けられる制度のことです。
すべての寄付金が寄付金控除の対象となるわけではありませんが、国や地方公共団体、特定公益増進法人などに寄付をした際に控除の対象となります。
なお、寄付金控除の対象となるのは、次の通りです。
- 個人の場合:所得税、住民税
- 法人の場合:法人税
また、寄付した全額が控除されるわけではない点にも注意しましょう。
控除額には一定の制限が設けられており、所定の計算式によって算出された額のみ節税可能です。
参考:国税庁|一定の寄付金を支払ったとき(寄付金控除)
寄付で期待できる節税ポイント4つ
ここでは寄付をすることで期待できる節税ポイントを4つ、取りあげてみました。
- 所得金額の40%を上限として所得税の控除対象となる
- 所得金額の30%相当を上限として住民税の控除対象となる
- 法人税の節約も期待できる
- 所得控除と税額控除の使い分けが大切
ひとつずつ、見ていきましょう。
所得金額の40%を上限として所得税の控除対象となる
寄付金控除の「所得控除」が適用された場合、所得金額の40%を上限として控除額が決められます。
所得控除の計算式は次の通りです。
(その年に支出した特定寄付金の額の合計額-2,000円)=所得控除額
たとえば、年間で5万円の寄付をした場合、控除額は48,000円となります。
給与所得控除や基礎控除、扶養控除などとあわせて控除されることになるので覚えておきましょう。
所得金額の30%相当を上限として住民税の控除対象となる
所得控除に加え、住民税も控除対象となります。
ただし、所得控除とは異なり自治体の条例によって控除可否が異なるので注意しましょう。
自治体によって認められている場合、所得金額の30%相当を上限に最大10%(都道府県民税6%、市町村住民税4%)の控除が適用されます。
法人税の節約も期待できる
個人ではなく、法人が寄付した場合は寄付金の一部または全額を経費として損金算入できます。
ただし、損金算入できる額は寄付先によって異なるため、あらかじめ確認しておくようにしましょう。
所得控除と税額控除の使い分けが大切
前提として、所得税の控除については「所得控除」「税額控除」の2つからどちらかを洗濯できます。
それぞれの違いは次の通りです。
- 所得控除:税額を計算する前の所得に対して控除が適用される
- 税額控除:所得から所得控除を差し引いた金額に対して控除が適用される
大半のケースにおいて、税額控除を選ぶ方が納税金額が少なくなります。
◆税額控除の控除額
(その年に支出した特定寄付金の額の合計額-2,000円)×40%=税額控除額
寄付金控除を受ける際の注意点
ここでは、寄付金控除を受ける際の注意点をふたつご紹介します。
寄付金控除の対象となる団体は決まっている
先にも軽く述べたように、寄付金控除を受けるためには指定された寄付先に寄付する必要があります。
寄付金控除の対象となる主な団体は以下の通りです。
- 国や地方公共団体
- 特定公益増進法人
- 認定NPO法人
その他の寄付先については国税庁のHPに詳しく記載があるため、参照してください。
控除の適用には確定申告が必要
寄付金控除で節税の恩恵を受けるには、確定申告をしなければなりません。
寄付をしたからといって勝手に控除去れるわけではないので、注意しましょう。
なお、確定申告の際は「寄付金受領証明書」が必要です。
寄付金控除の適用を受けようと考えいている場合は、忘れず手元に保管しておくようにしてください。
寄付本来の目的を今一度考えよう
ここまで寄付金控除の概要や、そこから得られる節税メリットについて解説しました。
しかし、寄付それ自体に経済的なリターンがあるわけではありません。
そのため、寄付金控除を節税といった観点だけで捉えるのではなく、寄付そのものの意味から見つめ直すことが大切です。
寄付金控除では、「困っている人を助けたいという気持ちを尊重し、そこにかかる経済的負担を極力軽くすること」を目的としています。
経済的メリットだけで考えるのであれば、ふるさと納税やiDeCoといった制度を利用する方が賢明でしょう。
この機会に寄付本来の意味や目的について改めて考え、制度を有効に活用しようと考える人が増えてくれたら幸いです。