日本の寄付の現状

 皆さんは寄付に興味はありますか?日本の寄付文化はアメリカなどの諸外国と比べて遅れているとされてきました。具体的には寄付白書の調査結果で、2016年のアメリカの個人寄付総額が30兆6664億円だったのに対し、日本の個人寄付総額は7756億円と、その差は約40倍もひらいています。これは国としての文化の違いもありますが、ここまでの差があると驚いてしまいますよね。しかしそんな日本でも、2011年の東日本大震災をきっかけに、寄付の総額は増加傾向にあります。また寄付をしている方にアンケートをとってみると、寄付した理由として「社会の役に立ちたいと思ったから」が59.4パーセントと最も多く、日本でも数多くの方が社会貢献活動に興味を持っていることが分かります。

一般的な寄付金の使われ方について

 実際に寄付をしたら、そのお金がどのようなことに使われるのか気になりますよね。寄付金の使い方は寄付先ごとに違い、それぞれ公式HPなどで紹介されている場合が多いです。細かい支援方法については1つ1つの活動を確認しなくてはなりませんが、一般的な寄付金の使われ方としてよくあるものを紹介していこうと思います。

・支援にかかる物資の購入

 寄付先にもよりますが、食料や文房具といった支援物資の購入に充てられることが多いです。特に食料問題や教育問題に取り組んでいる寄付先では、そういった支援物資の調達にどれだけのお金をかけられるかが重要となってきます。

・寄付先の従業員の給料

 寄付先はNPOなどの非営利組織が多いため、従業員はボランティアでやっているという誤解をしている方も少なくないかもしれません。しかし、非営利組織でもその活動を支えている人がいる限り、従業員への給料はなくてはならないものです。従業員がしっかりと活動に専念できるように環境をととのえることで、支援活動を継続することが出来ます。

・寄付イベントの開催&運営費など

 寄付先によっては募金活動や、寄付に関するイベントなどを開催しています。そういった活動にもお金がかかるため、活動費として寄付金が使われることがあります。

 このように、寄付金は物資の購入や支援活動、またそれを支える人々への給料として使われる場合が多いです。しかし寄付先ごとに具体的な支援内容が変わるので、細かい内容はそれぞれの寄付先の活動報告書などを確認するようにしましょう。

寄付金別に可能な支援を紹介

 寄付するにしても、それがどれくらいの支援になるのかイメージできた方が寄付しやすいと思います。そこでユニセフが公開している寄付金額あたりに出来る支援の例について紹介していきます。

(具体例)

●175円・・・10リットルの水を運搬・貯水することができる、折りたたみ式の貯水容器1つ

●180円・・・経口ポリオワクチン10回分

●316円・・・1錠で4~5リットルの水を浄化できる浄水剤1,000錠

●357円・・・子ども用のえんぴつ10本とノート10冊

●523円・・・子どもを寒さから守る、大きめの毛布1枚

●949円・・・抗マラリア薬180錠

●1,672円・・・重度の栄養不良からの回復に役立つ栄養治療食50包

●3,855円・・・包帯、テープ、手袋、はさみ、毛布、眼軟膏剤、消毒剤など一式

●4,633円・・・水容器、浄水剤、石けん、洗濯用洗剤、歯ブラシ、生理用ナプキンなど一式

 どうでしょうか?意外とワクチンや薬など命に関わる物資の支援を安価にできることが分かったと思います。これらの例を寄付金を決める際の参考にしていただければと思います。

寄付先別の寄付金の使い方

 次に具体的な寄付先別の寄付金の使い方について紹介してきます。寄付金は支援活動に使われる割合が大きいので、それぞれの支援活動について詳しく見ていきます。また、ここで紹介する寄付先はどこも実績があり信頼のおける寄付先なので、寄付先を探す際の参考にしてください。

公益財団法人 日本ユニセフ協会

 保健、水と衛生、栄養、教育、子供の保護、HIV/エイズといった分野での支援を行っています。具体的な支援として、予防接種の普及、安全な水の確保、栄養治療薬の提供、ワクチンの提供、浄水剤の提供などを行っています。

 日本ユニセフ協会

https://www.unicef.or.jp/

認定NPO法人テラ・ルネッサンス

 少年兵問題、地雷問題に取り組んでいます。地雷や不発弾の撤去作業を行ったり、元少年兵の子どもへ識字や算数などの基礎教育を施したり、自立して生きていけるように職業訓練などを行っています。

 認定NPO法人テラ・ルネッサンス公式HP

https://www.terra-r.jp/index.html

公益財団法人ジョイセフ

 ジェンダーの平等や女性の地位向上に向けた活動をしています。具体的には、性に関する知識の普及、出産に関わる設備の提供、HIVテスト用キットの提供、電気の通っていない保健施設へのソーラーパネル設置といった活動を行っています。

 国際協力NGOジョイセフ公式HP

https://www.joicfp.or.jp/jpn/

認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ

 こども食堂への支援をおこなっています。具体的にはこども食堂への物資支援、こども食堂の普及に伴う調査研究といった支援をおこなっています。

 むすびえ公式HP

https://musubie.org/

認定NPO法人 フローレンス

 障害児保育問題、虐待死問題、孤独な子育て問題に取り組んでいます。具体的には重度心身障害児の長期保育が可能な保育園の運営などを行っています。

 認定NPO法人フローレンス公式HP

https://florence.or.jp/

寄付金にも種類がある

ここまで寄付金の使い方について紹介してきましたが、寄付金には大きく分けて2つの種類があります。『支援金』や『義援金』といったワードを聞いたことはありますか?これらには寄付金よりも細かい定義があり、寄付金の使い方に関わってくるので、寄付する際はどちらを選ぶのか意識しておいた方が良い場合があります。以下は『支援金』と『義援金』の違いなので、ご自身が寄付する際の参考にしてください。

『支援金』・・・寄付金の一種で、主に寄付先のNPOやNGOといった『活動主体』におくられます。活動主体が運用できるお金なので、その用途は活動主体の活動内容によってさまざまです。

『義援金』・・・寄付金の一種で、主に支援される側の人々におくられます。問題を抱えている人々に直接とどくというメリットがありますが、とどくまでに時間がかかる場合があります。

このように寄付金にも種類があるので、寄付する際は自分で納得のいく方を選ぶことをおすすめします。

まとめ

寄付金は主に寄付先の支援活動に使われますが、そのほかにも物資購入や従業員の給料などに充てられることがあります。しかしこれらは継続して支援活動を行うために必要不可欠なことなので、寄付金が正しく使われていないと考えるのは誤解です。また寄付金にも種類があり、それぞれ使い方が異なるので、しっかりと違いを理解しておくことが大切です。一般的な寄付金の使い方や、金額あたりの支援などは紹介しましたが、寄付先ごとに取り組んでいる内容が違うので、そういった面でも寄付する際はよく調べてから寄付することをおすすめします。寄付はごく小額からでも世界中の苦しむ人々の支援になりますので、興味がある方はぜひ寄付先を調べてみて寄付をはじめてみてはいかがでしょうか?