タバコのポイ捨ては世界的な問題
皆さんはタバコを吸っていますか?今までは世界的にみて喫煙に対する法令やマナーが比較的ゆるかった日本においても、最近では様々な対策が行われるようになりました。現在の日本における喫煙者の数は年々減少傾向にありますが、依然として世界では多くのタバコが消費されています。驚くべき点は、そのタバコの吸い殻の生産量におけるポイ捨てされるタバコの割合です。なんと世界では年間で約6兆個のタバコの吸い殻が生まれているのに対し、ポイ捨てされているタバコは約4兆5000億個にものぼります。これは世界的にみると、消費されるタバコの大部分がポイ捨てされているということになりますよね。そんな深刻なタバコのポイ捨て問題ですが、実はマナーやモラル的な問題だけでなく、環境や法律といった部分にも深く関係しています。本記事ではそんなタバコのポイ捨て問題について、環境へ及ぼす影響や法令に関わる面から紹介していこうと思います。
タバコのポイ捨てが環境に及ぼす深刻な問題とは
タバコのポイ捨てと聞いて、皆さんはどんなシーンを想像しますか?多くの人が道端でタバコの吸い殻をぽいっと捨てるシーンを思い浮かべると思います。しかし、捨てられた後のタバコはその後どうなるかイメージつく方は少ないでしょう。本項ではそんなポイ捨てされた後のタバコが及ぼす危険な影響について紹介していきます。
ポイ捨てされたタバコはやがて海へ
実は多くの場合、タバコは街の中でポイ捨てされます。しかしその後、ポイ捨てされたタバコは雨風で排水溝に流れてゆき、下水を通って河川へ、そして最終的には海へとたどり着きます。そのため海岸で見かけるタバコの吸い殻は多くが街でポイ捨てされたものなのです。それらの吸い殻には、タバコでイメージされるニコチンやヒ素、鉛、銅などの発がん性物質を含む有害物質が大量に含まれています。特にニコチンに関しては水中でよく溶けてしまうため問題です。そのため、最終的に海にたどりついたタバコの吸い殻は海へ大量の汚染物質を流し込み、海の環境を汚染してしまうのです。当然海洋生物たちへの影響もすさまじく、その影響を図る実験ではタバコの吸い殻を水中に浸した状態だと半数の魚は4日後までに死んでしまったといいます。年間で約4兆5000億個もタバコがポイ捨てされている現状を考えると、海の環境に与えている悪影響は甚大なものだと推測されます。
吸い殻も海を汚染するプラごみ
実はタバコの吸い殻はそこから溶け出す有害物質も問題ですが、吸い殻自体が環境に非常に強い悪影響を与えていることがわかっています。タバコには有害物質を減らすためのフィルターという部分がついていますが、それらのほとんどがプラスチックフィルターであり、タバコの吸い殻は大量のプラごみと考えることが出来ます。1年間のタバコの製造量が約6兆本なので、それに占めるプラスチックの量はなんと『100万トン以上』です。プラごみが海洋に与える悪影響についてはよく議論されるので、それがどれほど深刻な問題なのかなんとなく想像がつくと思います。そのほかにも、街から海岸にかけてポイ捨てされているタバコの吸い殻を鳥などの小動物が持ち帰ってしまい、環境に悪影響を及ぼしてしまうというパターンもあります。タバコの吸い殻をポイ捨てする方々はマナーを気にしていない可能性があるので、環境問題まで考えることは少ないのかもしれませんが、実はその行為が知らず知らずのうちに私たちの暮らす環境を破壊してしまっているのです。
タバコのポイ捨てはそもそも軽犯罪法違反?
ここからは環境の面からではなく、法令の面からタバコのポイ捨て問題について見ていこうと思います。実はタバコのポイ捨ては多くの場合『法令違反』にあたることをご存じでしょうか?法令違反といっても軽く考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、もっというとタバコのポイ捨ては『軽犯罪法違反』に問われる行為なのです。軽犯罪法第1条27号は『公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他汚物または廃物を棄てた者』を処罰の対象と規定しています。タバコのポイ捨てはこれにしっかりと該当します。そのため罪に問われた場合、当然罰則があります。タバコのポイ捨てで軽犯罪法違反の罪に問われた場合『拘留または科料』という刑罰が処されます。具体的には
拘留・・・1日以上30日未満の刑事施設への収容が科せられる刑罰
科料・・・1000円以上1万円未満の金銭を徴収される刑罰
こういった内容です。拘留・科料は、刑罰としてはもっとも軽いものですが、しっかりと『前科』がついてしまうので簡単に考えてはいけません。これらに加えて、タバコのポイ捨てに関しては自治体ごとにそれぞれ条例を定めていることがあります。例えば『ポイ捨て禁止条例』や『歩きたばこ禁止条例』などです。またタバコのポイ捨てに関しては最悪の場合『放火罪』などに問われてしまうことがあります。放火罪の場合、故意に放火するつもりでタバコを捨てたわけでなくとも、火事が起きてしまう危険を十分に認識していれば「未必の故意」が成立し、放火罪に問われる可能性があります。こうなってしまっては死刑または無期、または5年以上の懲役という非常に重たい刑罰が科せられることがあります。『タバコのポイ捨てくらい』と考えていたせいで人生が終わるなんて、考えたくもないですよね。今までなんとなくポイ捨てしてしまっていたという方は、金輪際そういった行為をやめましょう。
まとめ
タバコのポイ捨ての現状がこれほど深刻なものだとは、普段意識しない限り多くの方が知らないことだと思います。しかし、タバコのポイ捨てによる環境問題や法令違反といった問題は世界中で問題視されており、日本でもその取り締まりが年々強くなっていっています。タバコを吸う人の中にはマナーを守ってる方も多くいますが、一部の守らない方々のせいで環境問題が起こり、法令がより厳しくされ、世間からの風当たりも強くなるのでは悲しいですよね。今まではタバコをポイ捨てすることについてそこまで深刻に考えていなかったという方も、本記事を読んで自身のマナーを見直す機会になれば幸いです。みんなでマナーを守って、私たちの暮らす環境をより良いものにしていきましょう。