地球温暖化とは、過剰な温室効果ガスによって地球全体が暖かくなることです。「暖かくなるならいいのでは?」と思うかもしれませんが、地球温暖化はわたしたちの生活環境に深刻な影響を与えます。考えられる変化と対策を詳しく知っておきましょう。

地球温暖化による環境への影響

二酸化炭素の削減は、地球規模での取り組みが必要とされています。このまま地球温暖化が進行すれば、さまざまな地球環境の変化が確実視されているためです。予測されている影響について見ていきましょう。

気温の上昇

地球温暖化による環境への影響としてまず挙げられるのが、平均気温の上昇です。近年、真夏日や猛暑日が増えた・涼しくなるはずの時期になってもまだ暑いなど、気候の変化を実感している人も多いでしょう。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書(2013~2014年)によれば、地球の平均気温は1880~2012年の間に約0.85℃上昇しています。

今後、踏み込んだ対策をとらなければ、さらに気温は上がり続けるでしょう。日本でもこのまま気温の上昇が続くと、21世紀末には現在より最高50日も真夏日が増えると予測されています。

参考:
環境省_気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書(AR5)サイクル
パンフレット「21世紀末における日本の気候」|環境省

海面の上昇

地球温暖化によって上昇するのは気温だけではありません。海面水位も同様に高くなります。海水温度が上昇すると体積が膨張するため、海面水位の上昇につながるのです。

また、暖かくなると陸上の氷河や氷床が溶けてしまいます。その水が河川や海に流れ込むのも、海面水位が高くなる原因の一つです。

IPCCの第5次評価報告書によると、21世紀末には2000年と比べて最大82cmの海面上昇が予測されています。海抜の低い地域や島では、耕作のできる土地が減ったり飲用水が確保できなくなったりするだけでなく、水没してしまう可能性もあるのです。

異常気象の増加

地球温暖化は異常気象が増加する原因にもなります。一例として挙げられるのが、熱帯低気圧(台風)の大型化です。発生数は変わらないものの、一つ一つの規模や勢力が大きくなると予測されています。

豪雨や豪雪が増える気象変化も、地球温暖化の影響によるものです。どちらも大気中の水蒸気が増えるために起こりやすくなります。気温が0℃を下回ると水蒸気が凍り、大量の雪となって降り注ぐ仕組みです。

一方で大気の循環が変動することで、降水量が減る土地もあります。干ばつや砂漠化によって、人間の生活に適さない環境になる可能性も考えられるでしょう。

地球温暖化による動植物への影響

地球温暖化による環境の変化は、動植物にとっても大きな問題です。どのような影響があるのか、対策を講じるためにも知っておかなくてはなりません。

植物や動物の絶滅の増加

動植物への影響として、大きな懸念を持たれているのが絶滅する種類の増加です。かつて絶滅の主な原因は、人間による乱獲や生息域の環境破壊・外来種にテリトリーを奪われたことでした。

しかし、今後は地球温暖化による急激な気候変化に、適応できずに絶滅する動植物が増えると予測されています。

地球温暖化が動植物の生存に与える影響は、すでに明らかになっています。地球温暖化が原因で絶滅の危機にある野生生物は2000年以降に激増し、2020年には4000種を超えているのが現状です。

参考:地球温暖化による野生生物への影響 |WWFジャパン

生態系の変化

平均気温や海面の上昇によって、野生動物の生息域が奪われたり変化したりすると、生態系のバランスが崩れる原因になります。いなくなった野生動物を天敵とする動物や昆虫が激増して、人間の生活環境に影響を及ぼす事態にもなりかねません。

海の生態系も温暖化の影響を受けます。例えば、冷水を好むサケやマスは、水温が上がりすぎると数が減る可能性が高い魚です。

また、水温の上昇に伴って富栄養化が起こると、水質悪化によって魚介類の生息域そのものが脅かされることも予想されます。

参考:地球温暖化研究の最前線|総合科学技術会議

地球温暖化による人間社会への影響

地球温暖化による環境や動植物への影響は、人間社会への影響につながります。わたしたちの生活がどのように変化していくのか、将来どうなるのかなど、現時点で指摘されている内容を見ていきましょう。

経済格差の拡大

地球温暖化は、先進国と発展途上国の経済格差を大きくします。ただ、気温の上昇と経済がうまく結びつかない人もいるかもしれません。考えるポイントは、地球温暖化による被害や悪影響に対処する力があるかどうかです。

先進国には技術や資金、それまでに培ってきた知識があります。例えば、台風や豪雨の被害を受けたとしても、国や自治体による救助や物資の支援が可能です。インフラの整備やがれきの撤去といった復旧の手段も備えています。

しかし、発展途上国の場合、こうした体制が十分でないことがほとんどです。地球温暖化による被害を受けた結果、自国の経済状態が悪化する恐れもあります。復興に時間がかかり、結果的に先進国との経済格差が広がることになるのです。

農業不振による食料不足

気候変動が農作物の生育に及ぼす影響は、世界中で対策が急がれる問題です。干ばつによる枯死や日照不足による生育不良など、さまざまな被害が考えられます。

また、気温が高すぎると果実の色付きが悪くなるという問題もあります。収穫時期を色付きで判断している場合は、タイミングを見極めにくくなるでしょう。

肉も例外ではありません。家畜の餌となる農作物が不足すれば、生産量に影響が出ます。魚も養殖環境や生息域が変化することで、安定供給ができなくなる可能性があるのです。

地球の平均気温が2.5℃上がると、食料の需要に供給が追いつかなくなると予測されています。食料不足は食品価格の上昇にもつながるため、食料自給率の低い日本では深刻な問題になりかねません。

病気の増加

地球温暖化で懸念されているのが、感染症をはじめとした病気が増加することです。蚊やハエなど感染症を媒介する生物の生育域が、温暖化によって拡大するためと考えられています。

感染症に対する免疫のない地域では、一気に広まってしまうでしょう。特に上下水道の整備が遅れている発展途上国では、深刻な事態になり得ます。

上下水道が整備されていないと、地球温暖化によって水温が上がると水質が悪くなります。不衛生な水が人々に行き渡ることで、感染症がまん延してしまう恐れが極めて高いのです。

身近なことからできる温暖化対策「在宅編」

地球温暖化の原因は、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスが増えすぎることです。国や企業だけに任せるのではなく、個人でも二酸化炭素を減らす方法は何か考える時代が来ているでしょう。

省エネを心がける

家庭から排出される二酸化炭素で特に多いのは、冷暖房や家電製品・照明などで消費する電力が由来のものといわれています。つまり、省エネを心がけることは二酸化炭素排出量の削減につながるのです。

まだ使えるからと古い家電製品を使っている場合は、消費電力をチェックしてみましょう。最新の省エネ家電と比べると、消費電力が高いことが分かるはずです。

家電の買い換えで消費電力を減らせば、二酸化炭素の排出量を削減できるだけでなく、電気代も節約できます。

また、節電機能が付いている場合は活用する・使っていない家電製品のコンセントは抜くなど、手軽に始められる習慣もおすすめです。

節水する

節水は水そのものの節約だけでなく、浄水場から自宅の水道へ届くまでのエネルギーを節約することにもなります。

水道やシャワーは流しっぱなしにするのを避け、洗いものはできる限りまとめて済ませると節水に効果的です。

洗濯には風呂の残り湯、鉢植えの水やりには米のとぎ汁を利用するなど、新たな水を使わない工夫も節水に大きく貢献します。

また、洗剤やボディソープ・シャンプー類は、適量を心がけましょう。洗剤類は大量に使っても汚れ落ちの効果があまり変わらないだけでなく、洗い流すのに使うお湯や水の量が多くなってしまいます。

再生可能エネルギーを利用する

太陽光や風力・水力など自然の力を利用した再生可能エネルギーは、二酸化炭素の排出量が少なく枯渇の心配がない発電方法です。未来のエネルギーとして、日本でも実用化が進んでいます。

太陽光パネルを設置したり、再生可能エネルギー(グリーンエネルギー)を提供している電力会社への切り替えを検討したりすると、二酸化炭素の排出削減につながるでしょう。

太陽光パネルの設置には初期費用がかかりますが、長い目で見れば電気代の節約になる可能性があります。グリーンエネルギーを提供している電力会社やプランへの切り替えであれば、設備にかかる初期費用は基本的にありません。

身近なことからできる温暖化対策「外出編」

外出するときに車を使う人は多いはずです。地域によっては、車がないと生活できないという事情もあるでしょう。

車を完全に使わないのは無理かもしれませんが、使うときには温暖化対策について考えてみましょう。

なるべく車を使わない

ガソリン車やバイクの排気ガスは、地球温暖化に影響を及ぼします。排気ガスを減らすためにも、近所へ買い物に行く程度なら運動を兼ねて徒歩や自転車にしてみましょう。

徒歩や自転車だと一度に多くの荷物を運べないので、買いすぎを防ぐ効果も期待できます。

電車やバスなどの公共交通機関の利用も、移動にかかる二酸化炭素を削減するのにおすすめです。ガソリンで動いている以上は排気ガスが発生するものの、一人あたりの二酸化炭素排出量の削減につながります。

一人一人はささやかな量でも、電車やバスに乗っている人全員が車を使うよりは、はるかに排出する二酸化炭素は少なく済むでしょう。

車に乗るときはエコドライブを

車を使わなくてはならない状況にある人は、エネルギー消費を抑える『エコドライブ』を積極的に取り入れてみましょう。自家用車が多い北海道では、道がエコドライブを推進しています。

基本的にアイドリングストップ機能をオンにしておけば、信号待ちや渋滞のときに排気ガスを減らせるだけでなく、急発進も防げます。

車の速度もできるだけ一定を保つのがおすすめです。急加速や急ブレーキは、燃費を悪化させるといわれています。定期的な点検もエコドライブには不可欠です。すり減ったタイヤや摩耗・劣化した部品は、早めに交換しましょう。

参考:アイドリングストップ – 環境生活部ゼロカーボン推進局気候変動対策課|北海道

まとめ

地球温暖化の影響は、自然界から人間の経済活動まで広範囲に及びます。地球温暖化の原因を作ったのは、わたしたち人間です。対策を考えて実践していく責任があることを、一人一人が意識しなければなりません。

自分たちの世代が快適に過ごせるだけでなく、次世代の人々も同じように暮らしていける地球を作るためには、温暖化への対策が必要です。ささやかでも自分のできることから、温暖化への取り組みを始めていきましょう。