貧困の問題は、生活することに精一杯で教育にもお金をかけることができない家庭で暮らす子どもの状態のことになります。自力ではその状況を抜け出すことはなかなかできません。成長して大人になってからも貧困が解消せず子どもや孫の世代まで貧困の状態は連鎖するようなこともあるのです。

貧困が連鎖する原因

貧困には必要最低限の生活水準が満たされない絶対的貧困と、ある特定社会の集団の標準に比べて貧しい状態の相対的貧困があります。貧困を削減する取り組みは世界中で実施されています。貧困の状態に陥るきっかけはさまざまあり、自然災害や紛争などでは一瞬ですべてを失うようなこともあるのです。身分制度のある国の場合、貧困層が固定化されていることも。個人での力ではどうにもならずに支援がないと貧困の連鎖になり抜ける機会がないのです。

貧困連鎖のきっかけ

貧困は小さなきっかけでも連鎖に陥ることがあります。生活資金が足りないのでほんの少しのつもりで高利貸しからお金をかりた結果利息が膨れ上がり返済ができない状況に追い込まれて困窮していきます。ほかにも病気で少し仕事を休んだだけで仕事がクビになってしまい仕事を失ってしまい現金収入がなくなります。

貧困に陥った場合

貧困に陥った人は行政や援助機関により支援やコミュニティ内の助け合いなどのセーフティーネットがなければ簡単に貧困の連鎖の中に入り、固定化されなかなか抜けられません。貧困の連鎖はとても複雑でさまざまな要因が交じり合っているのです。貧困になると教育を受けられず、技術も知識も身に着ける機会がなくなります。そうなった場合は仕事の選択肢も狭くなり、低賃金の不安定な仕事しかできなくなります。収入が少ないことや健康面でも不安になります。病気になった場合、治療も受けることができなくなるのです。そうなるとまた仕事も失います。社会から取り残され、貧困の悪循環に陥るのです。

貧困の世代間連鎖について

自分の親が貧困の場合、その環境から子どもが抜け出すことは難しいでしょう。貧困が連鎖している現状が世界中で問題視されているのです。

教育の欠如

お金がなく教育の重要性をわかっていない親もいます。子どもを学校に行かせずに労働力として使おうとすることも。教育を受けていない子どもは親と同じように教育の重要性を知らずに育っていきます。知識も技術も得られないので賃金の安い仕事にしかつけなくなります。いつか子どもが親になっても教育のためのお金を稼げないで必要な教育も知らないままになります。このような形で貧困の連鎖が起こり固定していきます。

日本でも例外ではない

貧困の世代間連鎖は発展途上国だけの問題ではなく、すべての国で起きていて日本でも例外ではありません。日本の格差社会化も深刻で高度専門職が世襲されているばかりか、貧困の世襲も起こっていると言われています。

貧困の連鎖を断ち切るには

貧困の連鎖を断ち切るために行われている取り組みもあります。効果的と言われている教育の支援もあるのです。

貧困の連鎖を断ち切る支援

SDGsでは2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための目標であらゆる形態の貧困を撲滅するために17のゴールと169のターゲットが定められています。誰一人としてとり残さないようにMDFsの課題を克服するように目標を定めました。SDGsの達成ができれば貧困の連鎖の中にいる人たちを助けることができます。

経済的なことだけではない

貧困の連鎖を断ち切るためには経済的なことだけではありません。もっと多くのアプローチも必要になってくるのです。世界銀行は自然災害が貧困層に与える影響と貧困の連鎖を断ち切るための方策を発表しています。

貧困の連鎖と教育について

貧困の連鎖を断ち切るために教育は効果のある方法です。SDGsの中に『質の高い教育をみんなに』という目標があります。貧富の格差は教育にも影響を及ぼしているのです。教育の格差は、ジェンダーや民族、言語の違いなどでも発生していて、格差を解消するのは持続可能な開発に欠かせないことです。

学校に通えない子ども

学校に通えない子どもが多くいましたが、以前よりは通えています。しかし貧困の連鎖は断ち切ることができません。質の高い教育を受けることが重要なので支援が実施されています。

日本の貧困の連鎖

日本でも貧困の連鎖が起こっていて、それを断ち切るには教育が有効であることは認識されています。内閣府では、貧困の連鎖を断ち切り格差を解消するためには自立することを促すことが不可欠だと言います。学校の教育における知的能力の訓練のみならず、非認知能力の発達が大きな影響を与えると言われています。非認知能力は意欲・自制心・やり抜く力・社会性などのことです。

緊急人道支援について

緊急人道支援が必要になっている人たちも多く、災害や紛争などで生活が一変してしまった状況になっています。支援がなければ貧困の連鎖からは抜け出すことは困難なのです。

ワールド・ビジョンの緊急人道支援

このワールド・ビジョンの緊急人道支援は、困難に直面した人の命や安全を維持するだけではなく、子どもたちが貧困の連鎖に入らずに済むような、短期的、長期的なプログラムを行っています。短期的なプログラムには緊急支援があり、災害や紛争で避難した人たちには一刻も早い支援が求められるのです。ワールド・ビジョンは世界4カ所に備蓄倉庫を設置しています。災害の直後に被災者に物資がすぐに届くように準備されています。

貧困を抜け出すために

避難してきた人たちが貧困を抜け出し、日常を取り戻すためには長期的な支援が必要です。ワールド・ビジョンは大人たちの生計手段を回復させて子どもたちの生活基盤を取り戻す復興支援と自然災害に対応し回復する力をつける防災・減災の活動を実施しています。子どもたちだけではなく、コミュニティ全体が貧困の連鎖に陥らないように安心して希望をもって自立していけるよう支援されています。

アドボカシー活動について

アドボカシー活動というのは一人一人が問題について知って、その原因について声をあげ、解決のために訴えることです。子どもたちの貧困の連鎖を断ち切り、希望に満ちた未来になるようにワールド・ビジョンは政府や国際機関、市民社会にはたらきかけて、いろいろな方法でアドボカシー活動を行っています。この活動により政策を変えて不公平な社会を変えることができます。

貧困の連鎖を断ち切る開発援助

貧困の連鎖を断ち切るためには教育が有効な手段になります。ワールド・ビジョンはチャイルド・スポンサーシップを通した開発援助活動を実施して困難な状況に置かれている子どもたちが健やかに成長できる、持続可能な環境を整えるための支援を行っています。子どもたちが教育を受ける権利、安全に暮らす権利が守られるように、支援地域の人たちとともに水衛生、保健、栄養、教育、生計向上などに取り組んでいます。

日本での対策には

貧困により連鎖の取り組みを日本ではNPOも行っています。無料の学習教室や安心して過ごせる居場所を作ったり、教育バウチャーというものを用意したりしています。教育バウチャーは教育サービスを利用できるチケットになります。そのほかにも子ども食堂や、無料の塾などに取り組んでいる人も多くいます。コロナ禍の影響も受け、お弁当を作るなど多くの困窮した家庭の助になっているのです。