循環型社会とは何か
循環型社会とは、廃棄物などの発生を抑制して、廃棄物等のうち有用なものを循環資源として利用します。適正な廃棄物の処理をすることで天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会のことを言います。
循環型社会を目指す日本での取り組みや現状
日本の場合は2000年に「循環型社会形成椎進基本法」が公布されています。これは循環型社会の実現を推し進めるための基本的な枠組みとして作られた法律になります。法律の中には国や地方公共団体、事業者の責務などが定義されています。
循環経済パートナーシップ
環境省は2021年3月2日に環境経済パートナーシップを立ち上げました。循環経済への理解と取り組みを促進することを目的に作られています。
地域循環共生圏
地域循環共生圏は地域の循環資源を中心に自然的、経済的つながりを深めていく考えです。地方にある資源を地方発信で最大限利用して足りない部分は近隣地域で補うことで、地域の生産、消費を行い循環させます。資源が循環すると経済も循環し始めます。地方の経済も活性化する効果がある取り組みになります。
3Rとは
Embed from Getty Images3Rも循環系社会の考え方からできた取り組みで、3Rとはリデュース、リユース、リサイクルのことです。廃棄物を少なくするために生まれ、現在では認知度も高まっています。消費者から見れば、詰め替えの商品を使うようにしたり、1つのものを大事に手入れして使うようにしたりしている取り組みなどがあります。リユースは再利用という意味で、物を繰り返して使用することで廃棄の削減や資源の循環につながります。古着を購入したり壊れたものでも修理をしたりして捨てないで使うことなどです。リサイクルを積極的にすることも大事で、すぐにゴミとして捨てないでリサイクルショップにもっていったり、自治体の回収サービスを利用したりします。自分たちでできることをしていくことが大切です。
1.リデュース
リデュースは減らすという意味で、ゴミを減らす取り組みになります。リデュースの取り組みでは、ゴミになるものを売らない・作らない、ゴミになるものや必要のないものを買わない、エコバッグを持って買い物をする、物を大事に使うというものです。生産者側と消費者側の必要以上の生産と消費を減らす必要があります。
2.リユース
リユースは再利用するという意味です。すぐに捨てずに何回も繰り返して使う取り組みになります。リユースの取り組みとしては、使わなくなったものを使ってもらえる人に譲る、何度も利用できるガラス瓶などが使われている製品を選ぶ、詰め替え製品を選ぶ、フリーマーケットやリサイクルショップを利用するという取り組みです。使わなくなったものを想定して製品を買う人は25%でまだ国内でのリユースの意識が低いようです。
3.リサイクル
リサイクルは再利用するということです。日本でもリサイクルは聞きなれている言葉で、使い終わったものを再資源化して新しいものの原料として利用する取り組みです。リサイクルは、ゴミの分別をきちんとすること、製品の購入のときにリサイクルされたものを選ぶ、生ごみを堆肥化させることの取り組みです。空き瓶などは洗浄して消毒し繰り返し使うのがリユースで、瓶などを溶かして原材料化し、再生利用するのがリサイクルになります。日本で使用された紙のうち約80%は回収されその後リサイクルされていて回収率も上がっています。再生利用された古紙の利用率も増加傾向にあり、日本ではリユースよりもリサイクルの意識は高いようです。
環境省の取り組み
Embed from Getty Images環境省は循環型社会形成推進基本企画を定められていて、5年ごとに見直しされていきます。第三次循環基本計画の4つのポイントをご紹介します。
ポイント1.リデュース・リユースの取り組みの強化
リデュースとリユースの取り組みはリサイクルに比べると遅れています。リデュースとリユースの取り組みを強化して3Rを進展させていきます。容器包装リサイクル法や家電リサイクル法などの個別リサイクル法を整備することで処分するゴミの量を大幅に削減しようとしています。
ポイント2,有用金属の回収
貴金属、レアメタルはゴミとして多く廃棄されています。鉄やアルミニウムはリサイクルとして進んでいますが貴金属やレアメタルのリサイクルシステムの整備は不十分になっています。使用済み家電製品からの有用金属の回収を推進し、リサイクルに必要な高度な技術の研究と開発を支援しています。
ポイント3.安心・安全の取り組み強化
原発事故が起こってから日本では安心・安全の意識は高まりを見せています。地震や台風などの災害の時に発生する廃棄物の処理システムを強化していく必要があります。災害廃棄物の処理体系を整え、復興には災害廃棄物の再生利用なども行っていくようにしなければならないのです。
ポイント4.3R国際協力の推進
アジアや太平洋諸国でも循環型社会の形成を目指すことが臨まれています。各国の3R推進プロジェクトの支援や関連技術の研究面での交流を行います。
循環型社会のために自分たちにできることとは
Embed from Getty Images循環型社会を実現するために世界や国単位での取り組みだけではなく、自分たちにできることからやっていくようにしましょう。
3Rを意識した生活
循環系社会のキーワードでもあるのがリデュース、リユース、リサイクルの3Rです。ゴミとして捨てる前にまだ使えるかどうか、なおして使えるかどうか考えるようにします。新しいものにこだわらず、リサイクルショップでの購入や古着などを選ぶのもよいでしょう。
ボランティアへの参加
環境保全に関するボランティア活動に参加してみるのも取り組みになります。ゴミ拾いなどの運営ボランティアに参加して地域に関わりながら循環社会の形成に貢献できます。ボランティアはポータブルサイトなどで募集しています。
エコな電気の選択
太陽光や風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーでつくる電気のことをエコな電気と言います。再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず資源がなくならないといわれるエネルギーとして国内外でも注目されています。今は好きな電気会社を選べるようになっているので、再生可能エネルギーを積極的に扱う電力会社もあるので切り替えるだけでも循環型社会の実現に貢献することができます。
できることから取り組んでいく
個人でできることから取り組んでいくことが必要になります。ゴミの分別や買い物ではエコバッグを持っていくなどすぐにでもできることです。まだ使えそうなものを捨てる時には、本当にゴミなのかなども考えるようにしましょう。日本では国・自治体・企業・市民団体が循環型社会を実現するために取り組みが行われています。林業界では、木質バイオマスを活用した森林資源の循環利用を行っています。メーカー・製造業では、ビッグデータとAIを利用した需要予測で廃棄ロスの削減をしています。エネルギー業界では、廃棄物をエネルギー源としたバイオマス発電などに取り組んでいます。循環社会は、廃棄物の発生抑制と循環利用により資源の消費を抑えていき、環境負荷を低減していく社会を作っていくことです。何もしないでいると資源消費量の増大によって、天然資源の枯渇、環境問題、廃棄物処分場のひっ迫などの問題が起こってしまうのです。そのため循環型社会の取り組みは重要になっているのです。