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新型コロナウイルスの影響により、日本国内でも貧困問題の深刻度が増してきています。
さらに財政のインフレ化も低所得者層の暮らしに大きな打撃を与えているのが現状です。
この記事では、「中間層」とも言える年収300万円ながら、生活困窮者への瀬戸際に立たされているY氏を題材に、日本の貧困問題を見つめていきます。
自分の現状や将来と照らし合わせながら読んでみてください。
なお、この記事は連載中の「低所得」シリーズの2つめの記事です。
初回の記事も是非、チェックしてみてくださいね。
「年収300万円」インフレにより貧困へ
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今回題材とするY氏(44歳)は、妻と娘と共に石川県で暮らしています。
年収は300万円と、「中間層」にギリギリ当てはまるラインです。
日本では労働者の約4割が年収300万円以下と言われているため、ごく一般的な収入状況と言えますね。
そんなY氏は、自身の暮らしぶりを以下のように語っています。
「現在の手取りは月に20万円ほどです。工場に勤めているのですが、飲み物は家から持参し、職場では缶コーヒーひとつ買いません。業務スーパーで買った冷凍の特大プリンを、2週間かけて家でちびちび食べるのが唯一の楽しみです」
中間層ながら、かなりの節約生活を強いられていることが伺えます。
インフレが低所得者層に与える影響
Y氏の家庭が節約生活を強いられるようになったきっかけは、複数あります。
Y氏一家は、昨年に娘の小学校入学のための準備費用がかさみ、生活費全般はクレジットカード頼みとなりました。
ただでさえ自転車操業となった家計に、以下のようにインフレの影響が襲いかかっています。
「今年3月の電気代が1万5000円、ガス代が6000円と値上がりの影響で出費がかさみ、4月の引き落とし額が口座の残高を上回ったんです。カードローンから3万円ほど借り入れし、足りない分を補いしました。5月も引き落としがあるし、返済する見通しが立たず困っています」
水道代も冬の間に2倍値上がりし、職場へは毎日自宅から水道水や麦茶を持参しているというY氏。
インフレが家計に与える影響はかなり大きいようです。
専門家もインフレの影響に警鐘
ファイナンシャルプランナーの平原憲治氏は、「光熱費や食費の値上がりは、ボディブローのように家計を圧迫します。それが貧困へ転落する引き金になることもある」と警鐘を鳴らしています。
インフレによって水道や電気、ガス、ガソリンなど生活必需の支出が増える分、交際費や趣味、娯楽費などQOLに関わる出費を削る必要が出てきます。
「月の手取りが20万円あっても、『住宅・教育・保険・雑費』といった固定費は極限まで絞っても9万円近くかかることが多い。貯金も少なくとも1万円は確保しておきたいところです」
平原氏の語る通りだと、夫婦の小遣いや交際費、家族の趣味娯楽費といった出費は2万円以下に抑える必要があり、かなり苦しいことが伺えます。
また、同氏の試算ではガス代・水道代・電気代の合計金額が2万円となるように設定されているが、総務省の発表によると、今年の3月は前年と比較するとガス代は18.1%、電気代は21.6%値上がりしています。
Y氏のように電気代だけで1万5000円近くかかった家庭も多いでしょうし、ギリギリの家庭はかなり多いことが予想されます。
カードローンやリボ払いに手を出さざるを得ない家庭も
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平原氏は、インフレが低所得者層の家庭に与える影響を以下のように解説しています。
「昨今のインフレ下では、いつもと変わらない生活をしているだけで出費がかさんでしまい、収支のバランスが崩れてしまいます。食べ盛りのお子さんがいる家庭だと、食費を削ることも難しい。家賃などの固定費も、極限まで絞っているので削れない。そうなってしまうと、足りない生活費を補うためにカードローンやリボ払いに手を出す家庭も多く、それが生活困窮者に陥る前兆とも言えます」
Y氏のように、娘の入学など何か1ついつもの生活に変化が加わるだけで、ギリギリの生活が破綻してしまうケースは非常に多いでしょう。
その結果カードローンやリボ払いを利用しても、また何かイベントが起こると借金が積み重なってしまいます。
ただ息をしているだけで予算オーバーになってしまう家庭が後を立たないのは、社会問題として捉えられるべきなのではないでしょうか。
貧困問題は家庭だけの問題なのか
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Y氏の家庭を題材として、日本の貧困問題を見つめてきました。
日本の人口の約4割が年収300万円以下なので、Y氏の家庭は明らかに収入が低いという訳ではありません。
それなのに無理に出費を抑えようとすると、家族の趣味・娯楽費など、QOLに関わる支出を削るしかないのが現状です。
普通に過ごしたいだけなのに生活が困窮してしまうのは、Y氏の家庭だけの問題なのでしょうか。
単純に考えると4割の国民が、同じようにいつ困窮してもおかしくないのが現状です。
インフレによる貧困は、今や立派な社会問題として捉えられるべきではないのでしょうか。