警視庁の発表によると、2021年は動物虐待の摘発数が170件と、過去最多の数字を残しました。
2020年の摘発数が102件だったとも発表しており、1年間での摘発数の大きな増加に注目が集まっています。
動物虐待というテーマについては、今後も記事を連載していく予定です。
この記事を通して、日本国内での現在の動物虐待の様相を見つめることからはじめてみましょう。
2021年の摘発事例は「遺棄」が最多の81件
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冒頭でも述べた通り、2021年は動物虐待の摘発事例が171件と、過去最多になりました。
摘発された事例の中で最も多かったのはペットを捨てるなどの「遺棄」で、摘発件数は81件でした。
新型コロナウイルスの流行により外出を自粛することになった人々の間で、ペットを飼うのが流行したことが遺棄の件数増加に繋がっていると考えられます。
他には餌を与えなかったり治療をしないなどの「虐待」が48件、動物に暴力を与える「殺傷」が41件でした。
以下では、近年日本で実際に起きた動物虐待の事例を紹介します。
長野県の犬販売業者が452匹の犬を虐待
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2021年11月、長野県松本市の施設で犬を劣悪な環境で飼育したとして、犬販売業者の元社長が逮捕されました。
市内2か所の施設で452匹の犬を衰弱させる虐待を行ったとされ、動物愛護法違反の罪で起訴されました。
動物を扱う業者による動物虐待は根深く、積極的な摘発が求められています。
移動式動物園のグレーな問題点
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2022年1月、消費税法違反の疑いで、イベント会社の社長が逮捕されました。
社長はイベント用に猫を仕入れ、その代金として約30億円計上し、消費税分の2億円弱を不正に請求していました。
同社は全国各地で「ふれあいねこ展」というイベントを開催していました。
「ふれあいねこ展」百貨店やショッピングモールで開催される「移動式動物園」という類の動物イベントです。
移動式動物園に関しては、多くの問題点が挙げられ動物虐待の温床と言われています。
動物保護団体「PEACE」の東さちこ氏は移動式動物園について、以下のように述べています。
「移動式動物園では動物が触り放題になっているため、ヒヨコなどはギュッと握りしめられたり、目や口などをいじられたりしています。無理やり餌を食べさせようとしたり、ハムスターをケースに戻す時に高いところから落としたりなど、多くの問題シーンを見てきました」
誰でも気軽に動物に触れるイベントは、動物にかかるストレスも大きいということですね。
移動にかかるストレスが大きい
移動式動物園ではその名の通り、動物が普段住んでいる場所からイベント会場に運ばれて行われます。
動物の移動という点について、東氏は以下のように述べています。
「輸送は動物に大きなストレスを与えますが、そもそもそれがあまり理解されておらず、動物たちは何十キロ、数百キロの距離を輸送されてやってくることもあります。業者によっては、動物をぎゅうぎゅう詰めにして輸送していたことも判明しています。先日逮捕された『ふれあいねこ展』を開催していたイベント会社は、多数の猫を空輸していました。同社のふれあい展示は、幕張で短期のイベントが終わった直後に、猫たちを休ませることもなく、すぐ九州の会場まで空輸していたことがありました」
動物虐待とも捉えられるほどグレーな動物の扱い方に、批判の声が数多く上がっているようです。
虐待の検挙数増加は動物愛護の声によるものか
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2020年に動物愛護法は改正され、罰則が引き上げられることになりました。
動物愛護に対する関心はSNSを中心に高まってきており、動物虐待事件の検挙数増加は国民の意識が変化してきていることの表れとも考えられています。
検挙数こそ上がっていますが、その分悪い人が捕まる世の中になってきていると考えることができますね。
事件が無くならないことは辛いですが、動物愛護の関心が高まってきている流れを途切れさせなければ、着実に事件は減らせるかもしれませんね。
今後も、動物虐待に関する記事を連載していきます。
読者の皆さんが動物愛護への関心を持つきっかけになればと思うので、楽しみにしていてください。