【SDGs目標1貧困をなくそう】とは

SDGsという言葉は近年あらゆる場所で聞かれるようになりました。この記事では、SDGsの目標1【貧困をなくそう】についてわかりやすく解説していきます。

SDGsとは未来を作る目標のこと

SDGsとは、国連の定めた「持続可能な開発目標」のことで、17の目標と169のターゲットで構成されています。現在地球は環境問題や人口爆発など、さまざまな課題を抱えています。SDGsは、未来的に世界中のすべての人々が、豊かで幸せな生活を続けるために必要な開発目標のことです。

「2030アジェンダ」では、国連に加盟する193カ国すべてが、2030年までにこの17の目標達成を約束しました。

【SDGs目標1貧困をなくそう】を解説

SDGsの目標で1番に掲げられているのは【貧困をなくそう】です。「貧困」というと、ピンと来ない方もいるかもしれません。例えば、1日200円の収入しかない人たちを想像してください。1日200円の収入というと、1ヶ月を31日として計算しても6200円にしかなりません。この収入で毎日の生活を賄うことは可能でしょうか。これは世界銀行が定めた「国際貧困ライン」という基準を日本円で示したものです。

このような「国際貧困ライン」に当てはまる人々は世界中に多数存在し、その中の3億5600万人は子どもです。(※2021年度)特に開発途上国における子どもの貧困は大きな課題となっています。このような貧困の連鎖を断ち切る努力をしなくてはいけません。

SDGs目標1【貧困をなくそう】は、「あらゆる場所のあらゆる貧困を終わらせる」ことを目標として打ち立てられたものです。

出典:unicef.or.jp

なぜ「貧困」をなくさなければいけないのか

貧困は人の生活のあらゆる面に影響します。心も身体も健康的に過ごすためには、栄養のある食事としっかりと睡眠がとれる住居がなくてはいけません。寒暖に対応する衣服も重要です。極度の貧困では、このような生活に必要なものを用意することができず、人として最低限の生活を送ることが叶いません。

SDGsの重要な共通理念は「誰一人取り残さない」こと。豊かさを一部の裕福層が独占するのではなく、すべての人に享受されるべき社会を構築しなくてはいけないのです。

貧困を考えるためのキーワード

貧困を読み解くためには、以下の2つのキーワードが重要になります。

  • 絶対的貧困

食料や住まいを得ることができず、最低限の生活さえ送ることができない、生きること自体が困難なほどの貧困。

  • 相対的貧困

住んでいる国の平均収入水準より、はるかに低い収入しか得ることができないことで陥る貧困。この相対的貧困は可視化されにくく気づかれにくいため、先進国にも多く存在すると言われている。

世界の貧困問題の現状を読み解く

1990年代初頭、世界的な貧困の蔓延率は30%以上あり、中国やインドなどのアジアの国々の貧困問題が深刻でした。しかし、その後中国の経済発展などにより、極度の貧困層が集中するのはアジアからアフリカへとシフトしました。サハラ砂漠以南のアフリカの国々はその中でも最も貧困率が高くなっています。

出典:unicef.or.jp

世界の貧困率は少しずつ改善に向かっていました。しかし新型コロナウィルスによるパンデミックで経済が停滞したため、2020年には極度の貧困率が9.5%になり、1998年以降初めて上昇しました。このままでは、2030年に向けて貧困撲滅を達成することは非常に困難と言われています。

日本にも貧困問題は存在する

日本では極度の貧困なんてありえない、と思っている方もいるかもしれません。しかし日本も現状6人に1人が貧困状況にあり、7人に1人の子どもが相対的貧困であると言われています。そのため高校への進学をあきらめたり、家計を助けるため、学校にいかずバイトをしたりする子どもたちがいます。

貧困問題は決して遠い国だけのできごとではなく、私たちの身近に起きている問題として真剣に捉えることが必要です。

SDGs目標1の【7つ】のターゲット

それではここで、SDGs目標1【貧困をなくそう】の7つのターゲットについてご紹介します。

1.12030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.22030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
1.3各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度および対策を実施し、2030年までに貧困層および脆弱層に対し十分な保護を達成する。
1.42030年までに、貧困層および脆弱層をはじめ、すべての男性および女性の経済的資源に対する同等の権利、ならびに基本的サービス、オーナーシップ、および土地その他の財産、相続財産、天然資源、適切な新規術、およびマイクロファイナンスを含む金融サービスへの管理を確保する。
1.52030年までに、貧困層や脆弱な立場にある人々のレジリエンスを構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的打撃や災害に対するリスク度合いや脆弱性を軽減する。
1.aあらゆる次元での貧困撲滅のための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、様々な供給源からの多大な資源の動員を確保する。
1.b各国、地域、および国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを設置し、貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援する。

数字だけのターゲットは具体的な目標を表し、アルファベットがついているものは目標達成のための具体的な方法が示されています。ターゲットを読み込み、自分たちに何ができるのかを考えてみましょう。

「考えること」が、「できること」の最初の一歩

貧困は難しい問題ではありますが、一人一人ができることは多く存在します。世界中に貧困のために悲惨な状況の人たちがいることに気づき、何ができるのかを考えることが取り組みの第一歩となります。

自分の持っている豊かさを少しシェアしよう

以下に身近にできることをいくつか箇条書きにしました。この他にも何ができるのか、ぜひ考えてみてください。

  • 開発途上国や貧困支援している団体への寄付
  • 正当な報酬で成果をあげている企業への支援(フェアトレード品を買う)
  • 貧困している人たちが仕事を得るチャンスの手助けをする
  • 貧困のため孤立している人の話をきいてあげる
  • 貧困で困っている人に相談できる支援団体を教えてあげる

あなたの持っている豊かさを少しでいいから誰かにシェアしてみませんか。それがSDGs目標1【貧困をなくそう】を達成する大きな力となります。