テレビやインターネットなど、多くの媒体で「環境に配慮した(している)」という言葉が聞かれるようになりました。人間の活動による地球環境への影響に、人々も危機感を抱き始めたのかもしれません。環境のために、今私たちは何をするべきなのでしょうか?

「環境に配慮する」とは

「環境に配慮する」とは、文字通り地球環境に気を配ることです。では、何をどのようにすればよいのでしょうか?もう少し具体的に見ていきましょう。

環境に影響を与えないよう気を配ること

「配慮」には、「良い結果になるように心遣いをする」という意味があります。つまり、「環境に配慮する」とは、地球環境がより良くなるように、自分たちの行動を見直したり、改善したりすることなのです。

企業や事業者の環境に配慮した取り組みとして、環境マネジメントや環境監査といったシステムがあります。

環境マネジメントは「環境管理」ともいい、経営や運営の中で、環境に関する方針や目標を設定し、行っていく仕組みです。また、環境マネジメントの取り組みに客観的なチェックを行う「環境監査」も用意されています。

参考:環境マネジメントシステム|環境省

環境に配慮した行動の事例

企業の環境マネジメントや環境監査に対して、個人が持続可能性や環境保全を意識して取る行動を「環境配慮行動」といいます。生活に密着したことばかりなので、自分の生活や身の回りと照らし合わせてみるとよいでしょう。

省エネルギー

エネルギーの多くは、石油や石炭といった化石由来の燃料を燃焼することで得られます。このとき、エネルギーの発生だけでなく、地球温暖化の原因となる二酸化炭素も同時に排出されるのです。

電気の使用量が増えれば、それだけ発電量も必要になり、結果的に二酸化炭素の排出量が増えることになります。環境に配慮した行動の1つとして省エネルギーが推奨されるのはこのためです。

省エネルギーの方法として、家庭でのガス・電気などの使用量を減らすことや、家電製品を買い替えるときに省エネ家電を選ぶことなどが挙げられます。

参考:省エネって何?|経済産業省 資源エネルギー庁

グリーン購入

グリーン購入は、製品やサービスを購入する際に、必要性や環境への負荷を考え、環境に配慮した取り組みをしている業者から優先的に購入する方法です。

まず購入前に、長く使えそうか、今持っているものや中古品、レンタル品で代替できないかなどをよく考えましょう。グリーン購入は、衝動買い防止にもつながります。

グリーン購入によって、経済活動全体を環境に配慮したものに変えていくことができるとして、2001年4月には「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」が施行されています。

参考:国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)に基づく公表|環境省

参考:グリーン購入法

エコドライブ

エコドライブは、燃料の無駄な燃焼を減らして、二酸化炭素の排出量を削減する運転方法です。

すぐに実践できることとしては、急発進や急加速は避け、アクセルを調節してなるべく一定の速度で走行することが挙げられます。加速や減速を繰り返すことで燃費が悪くなるだけでなく、二酸化炭素の排出量が増えてしまうためです。

このほか、タイヤの空気圧は適正を守る、余分な荷物は車から降ろすなどちょっとしたことでも燃費の向上につながります。

参考:エコドライブ10のすすめ|環境省

3R

3Rは、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の頭文字の総称です。循環型社会を形成するのに有効な方法とされています。

リデュースは廃棄物になる可能性のあるものを減らす(発生抑制)ことです。レジ袋や過剰な包装を断ったり、シャンプー類は詰め替え用を購入したりするのがリデュースにあたります。

何度も使う(再使用)のがリユースです。リターナブル容器や詰め替え容器のものを選ぶ、不要になったものをフリーマーケットやリサイクルショップに持ち込むといった行動を指します。

リサイクルは再利用、再資源化です。一例として、資源ごみは適切に分別して回収に出す、リサイクル品を積極的に使うなどがあります。

環境に配慮した企業の取り組み事例

環境保全に対する意識が高まるにつれて、環境に配慮した取り組みを実践する企業も増えてきました。実際にどのようなことを行っているのか、企業の取り組み例を紹介します。

パイロットコーポレーション

総合筆記具メーカーのパイロットコーポレーションでは、企業活動のあらゆる面で、環境保全に努めています。

環境に配慮した製品の1つ「BEGREEN」は、リサイクル材を使用したシリーズです。インキの詰め替え・補充型を積極採用して、廃棄物の削減にも取り組んでいます。

また、「スーパーグリップGオーシャンプラスチック」は、世界的な問題になっている海洋プラスチックごみやマイクロプラスチック削減に取り組んだ製品です。

本体の一部に海洋プラスチックごみの再生材を使用しています。その他の部品にもリサイクル素材を使い、再生材使用比率70%以上を達成しました。

参考:【E】環境への取り組み|パイロットコーポレーション

ファーストリテイリング(ユニクロ)

ファーストリテイリングでは、長く着られる品質の製品作りとともに、循環型社会と資源効率の最大化を目指しています。

ユニクロの「ドライEXポロシャツ」や「ファーリーフリース」は、資源の有効利用を促進する製品です。素材の一部に、回収ペットボトル由来の再生ポリエステルが使用されています。

「RE.UNIQLO」は、不要になったユニクロの服を回収し、新しいアイテムを生み出す取り組みです。「リサイクル ダウンジャケット」では、回収したダウン商品から取り出したダウンとフェザーを使用し、服から服へのリサイクルを実現しました。

参考:環境負荷低減への取り組み|ファーストリテイリング(ユニクロ)

サントリー

サントリーでは、全てのペットボトルの素材を、2030年までにリサイクル素材と植物由来素材に切り替えることを目指しています。

すでに一部のペットボトルでは、世界初植物由来原料100%の国産最軽量キャップ、再生PET樹脂を80%使用した国産最薄ラベル、再生PET樹脂100%使用などが達成されました。

また、「人と自然と響きあう」をミッションに、水のサステナビリティの実現や、二酸化炭素の排出削減など、さまざまな環境保全活動に取り組んでいます。

参考:サントリーのエコ活|サントリー

個人でできる環境に配慮した行動例

企業の大がかりな取り組みを見ると「自分にできることなんてない」と思うかもしれません。しかし、個人でも環境に配慮した行動は可能です。小さな行動でも、多くの人が実践すれば大きな変化を生み出します。自分にできることから実践してみましょう。

電気を節約するなど省エネを実践

家庭で消費されるエネルギーの50%は電気とされているため、電気使用量の見直しが家庭での省エネにつながります。

消費電力が多いのは、エアコンや冷蔵庫などの大型家電製品やテレビ、照明器具などです。エアコンの設定温度は適切にし、照明やテレビの付けっぱなしに注意しましょう。

使っていない家電製品は、コンセントから抜くことで待機電力をカットできます。コンセントごとにオンオフできるエコタップもおすすめです。

ただし、猛暑の日や真冬にエアコンを我慢する、部屋の照明を消してテレビを見るといった無理な節電をする必要はありません。無駄遣いをしないように気を付けるだけでも、省エネにつながります。

参考:家庭でのエネルギー消費量について|環境省

参考:省エネって何?|経済産業省 資源エネルギー庁

買い物のときは環境ラベルをチェック

買い物のときはグリーン購入を意識してみましょう。環境ラベルの付いた製品を購入することで、環境保全に協力できます。

よく知られている環境ラベルにはエコマークがあります。

エコマークはパソコンやペットボトルなどのプラスチック製品をはじめ、食器や衣類、建築資材、飲食料品や化粧品まで、私たちが普段の生活で使うさまざまなものに付いています。見たことがあるという人も多いでしょう。

1つの製品について、資源採取から廃棄・リサイクルまでライフステージにおける環境への負荷が、認定基準に基づいて審査されます。エコマークが付いている製品は、この審査による認定を受けているということです。

参考:公益財団法人 日本環境協会エコマーク事務局

車の使い方を見直す

環境省では、環境に配慮した移動方法を選択する「スマートムーブ」を推奨しています。

スマートムーブは、近所への買い物にも車を使う「チョイ乗り」をやめて徒歩や自転車にする、公共交通機関を利用するなど、二酸化炭素の排出を削減する取り組みです。必要なときだけ使えるカーシェアリングやレンタカーを利用するのもよいでしょう。

日常生活に車がないと困るという人は、エコドライブを心がけましょう。運転方法だけでなく、タイヤの空気圧やすり減りをこまめにチェックする、出発前に道路情報を確認して渋滞を避けるなど、車のコンディションや運転環境にも注意が必要です。

参考:smart move |COOL CHOICE |環境省

まとめ

地球温暖化をはじめとする気候変動や海洋汚染、大気汚染など、深刻な環境問題の原因の多くは人間の活動にあります。環境への影響を考えることなく、便利さや快適さを追求してきた結果といえるでしょう。

改善のためには、私たち一人一人が意識を改め、環境に配慮した生活や行動をすることが必要です。子どもたちや未来の人々へ美しい地球環境を伝えるために、今日からできることを始めてみましょう。