ひとり親家庭に無償でお弁当を届ける、一般社団法人こどもの笑顔弁当を運営する笹裕輝さん。今回は、ご自身の活動の社会における役割や活動の課題について伺いました。
社会での役割について
-ご自身の活動が、世の中に対してどのような役割があるとお考えでしょうか?
僕は母子家庭で育ち、そして母親には散々苦労をかけてきました。そのような経験から、今の活動の根底にあるのは、”世の中のお母さんを楽にさせてあげたい”という強い思いです。
配達の実績が増えたりメディアで取り上げられることが多くなっていくと、協力してくださる方が徐々に増えていきます。そうすれば、苦しいご家庭の状況を知ってもらいやすくなったり、そんな状況が解決されるように行政に働きかけることができるので、僕たちの思いを様々なところへ届けられるようになります。
世の中のお母さんたちが一人でも笑顔になってもらえる社会を目指し、自分たちの活動がそのきっかけになってくれればと考えています。
活動を通じて見えた課題とは
-こどもの笑顔弁当の活動を通じて見つかった課題などがあればお聞かせください。
チームで動いているので課題は常につきものです。海外での寄付の成功事例を取り入れようとみんなで話し合ったり、活動に協力してくださる外部の方々と関わる中で、課題は数え切れないほど出てきます。
けれどそういった課題の本質的な問題は、日本に寄付文化が形成されていない点ではないでしょうか?若者を筆頭に、寄付をやってみたいけれど、どうやって寄付をすればいいか分からない、ロールモデルが存在しない、といったことが一番の問題だと感じています。
-寄付を身近なものに感じられるようになるには、どうすれば良いでしょうか?
僕が負債を抱えながらも活動を続けられているのは、お金以上の価値をたくさんいただいているからです。また配達の学生メンバーも、きっとキャンパスライフだけでは味わうことのできない経験を、この活動を通じてできていると思います。ひとり親家庭の苦労を目の当たりにしたり、ご家族から温かい言葉をかけてもらったり、そんな経験は講義を受けるだけでは決してできないでしょう。
寄付を身近なものとして感じられるようになるには、寄付をして得られた幸福体験を、一人一人が広く発信していくことが必要だと感じています。幸せのスパイラルが周りの人に少しずつ広がっていくようになると、僕のようにやめられなくなる人も出てくるのではないでしょうか。
きっとそのような幸福体験が世の中にあることを、皆さんまだ知らないだけだと思いますので、気軽にトライしてみてください。そうして僕が活動を通じて感じている幸せのスパイラルを、皆さんに是非とも味わっていただきたいです。
世の中のお母さんの笑顔や幸せのスパイラルを広げていくことを目指す、こどもの笑顔弁当の活動。次回最終回は、その活動の今後の展望やALT MEDIA読者の皆さんへのメッセージについてお伺いします。