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行政による犬猫の殺処分は、多くの人々の関心を集める社会問題となっています。

「殺処分ゼロ」を掲げる自治体も増えてきていますが、殺処分を逃れた犬や猫はどのような扱いを受けているのでしょうか。

この記事では、犬や猫の殺処分に関する解説と、殺処分を逃れた犬や猫のその後について、問題提起を踏まえて解説します。

殺処分について関心のある方は是非、最後まで読んでみてください。

日本の動物殺処分の現在

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殺処分は、ドリームボックスという箱の中で二酸化炭素ガスを充満させ、動物を窒息死させることで行われています。

当然ですが、この方法では動物たちは苦しんで死ぬことになり、安楽死とは異なります。

ガス室のボタンを押す人にとっても、心に大きな負担のかかる処分であることは簡単に想像できます。

ドリームボックスを見直す自治体も

環境省の「動物の殺処分方法に関する指針」では、できる限り動物に苦痛を与えない方法で殺処分を行うことが求められています。

そのため、昨今ではこの方法を見直す自治体も増えてきました。

エサに致死量の麻酔薬を混ぜる安楽死など、様々な工夫に努めている自治体が増えているのも事実です。

法改正の副作用「引き取り屋」

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2012年に動物愛護管理法は改正され、動物の飼い主には終生飼養の努力義務が定められました。

そのため、ペット販売事業者や飼い主の勝手な都合で自治体に動物が持ち込まれることはなくなりました。

ですが、自治体に託されることのなくなった動物たちは、救われ幸せになったわけではありません。

ペット販売事業者の不要犬猫を自治体に代わって受け入れる存在として「引き取り屋」という業者が現れました。

引き取り屋では不良在庫となった犬猫を、1匹数千円から数万円で引き取っていました。

引き取られた動物は小さな檻に閉じ込められ、劣悪な環境下で飼育されることになりました。

法が改正されることで、新たな問題として現れたのが「引き取り屋」です。

「殺処分ゼロ」の影

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近年「殺処分ゼロ」を目標に掲げたり「殺処分ゼロ」を達成したと発表する自治体が増加傾向にあります。

ですが、その団体の施設が動物福祉に配慮し、犬猫たちが幸せに生きることにつながっているとは限りません。

ある民間施設では、動物愛護センターから引き取った犬が数千頭以上も雑居房の中に収容されていました。

その施設では不妊・去勢が行われず子犬が何匹も産み落とされ、無惨に死を遂げていました。

その実態は明らかになり、施設は狂犬病予防法違反と動物愛護法違反で書類送検されました。

殺処分されなかったからと言って、不要とされてしまった犬猫が幸せになっている訳ではないというのは大きな問題です。

行政施設の環境にも問題

民間団体だけではなく、行政施設の環境に問題がある場合もあります。

本来動物管理センターは、狂犬病予防法に伴なう殺処分のための抑留施設でした。

それが時代を経て動物愛護の気運の高まりによって、殺す施設から生かす施設へと変わり始めました。

ですが、本来抑留施設だった動物管理センターは、老朽化したものだと空調設備がないこともあり、疾病があった場合に治療されないこともしばしばあります。

「殺処分ゼロ」を達成していたとしても、設備の不十分さによって結果的に犬猫を殺してしまっていることは問題です。

動物愛護センター新設の動きも

設備が不十分な施設に代わり、昨今では動物愛護センターを新設する自治体も増えてきています。

施設内で必要な治療が行われるようになったり、動物病院との連携を図るようになったりと、状況は改善されてきています。

良質なセンターにできるだけ多くの犬猫を引き取らせることが、動物愛護への近道でしょう。

最新の設備が無駄にならないよう、センターへの引き取り拒否を減らすことが大切です。

「殺処分ゼロ」から「無責任な飼育放棄ゼロ」へ

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近年では、「殺処分ゼロ」が選挙の公約にされることが増えてきました。

動物愛護の気運は世間的には高まってきているため、政治思想に関係なく多くの人から共感を得られることが政治家にとってのメリットになっているのでしょう。

ですが先述の通り、「殺処分ゼロ」は必ずしも「幸せな動物を増やす」ことを目的としたものにはなっていないのが現状です。

「殺処分ゼロ」という言葉が公約などを通して一人歩きし、誤解とともに広がってしまっています。

「殺処分ゼロ」はあくまでも結果に過ぎず、動物たちの幸せを願うなら「無責任な飼育放棄ゼロ」を目標に据えるべきです。

「殺処分ゼロ」の現実と、問題の本質に向き合っていくことが、動物愛護への次なる一歩になるのではないでしょうか。