国民的デュオ「ゆず」は、2018年7月に起きた西日本豪雨被災地支援として、「うたエール」の弾き語りバージョンをリリースし、売上の全額を寄付していました。そんなゆずはこれまでも、被災地にエールを送るためにたくさんの活動をしてきました。

この記事では、ゆずのこれまでの活動をご紹介します。

西日本豪雨はゆずにも影響があった

ゆずは西日本豪雨の際、広島に滞在していました。7月6〜8日は、広島グリーンアリーナ公演があったからです。交通機関の混乱や、みんなの安全のため、ツアーは中止となりました。

その時のことをゆずの二人はこう振り返っています。

「滞在先から報道を通じて、広がっていく被害の大きさを目の当たりにし、とても苦しく、悲しい気持ちになりました。同時に、自分たちに何かできないかをずっと考えていました。」

その後、スタッフとミーティングを行い、応援歌である「うたエール」の弾き語りバージョンをリリースし、その売上を寄付するということを考えたそうです。

うたエールは、2020人で作り上げた応援歌

うたエールは、とても元気のでる応援歌で、プロモーションビデオでは新メンバー2018人を募集したことでも有名です。年齢、性別を問わず、多くの人が参加し、みんなで踊ったり歌ったり、途中でコーラスが入ったりと、聞いていてとても心が温かくなる曲です。

筆者は、このプロモーションビデオを見た時にも「ゆずは、本当にファンを喜ばす企画を考えるなぁ」と思ったと同時に、ファンの方たちも本当に嬉しそうでゆずが大好きなのが伝わりました。

そのような歌が、今度は被災地支援として活用されていることも、素晴らしく感じます。

東日本大震災の時も何度も歌を贈ってきた

ゆずは、これまでも被災地支援を行ってきました。東日本大震災後は、エンターテイメントやイベントは行わない自粛ムードが漂っており、ゆずの二人も歌うことに戸惑いがあったそうです。東北に行って良いのか、歌って良いのかと思っていたけど、その時に地元の方たちから「どんどん歌ってください」と言ってもらい、逆に勇気づけられたと話されていました。

復興支援音楽祭でも招致される

出典:mitsubishicorp.com

仙台サンプラザホールで行われた「復興支援音楽祭 歌の絆プロジェクト」は、三菱商事と朝日新聞が歌を通して被災地の人々に大きな希望を持ってほしい、と東日本大震災の復興支援の1つとして企画したものです。被災地域の学校関係者を中心に2千名の方が来場しました。

福島県の南相馬市立おだか中学校、県立浪江高校、県立相馬農業高校飯舘校の合唱部の生徒、計33名が歌いました。歌った曲は、おだか中学校の卒業生たちが作詞し、先生が曲をつけた「群青」で、震災と原発事故で離れ離れになった生徒たちの思いが託された歌詞になっています。

このイベントは、さいごにゆずが登場するというサプライズも用意されていました。

主催者が、これまでのゆずの被災地支援の活動をみて選ばれたそうです。始まる前に、生徒たちにも「一緒にがんばりましょう」と声をかけていたそうです。ゆずが登場すると歓声があがり、客席もみんなで大合唱となりました。

復興支援音楽祭は「音楽の力で子どもたちの未来への希望を育てよう」という願いが込められているのですが、本当に素晴らしい音楽祭となりました。

ゆずの「栄光の架橋」は被災地に大きな勇気を与えた

東日本大震災の震災時、岩手県高田高校では、野球部の部員たちが津波から逃げてきた高齢者を部室に避難させていたそうです。夜になり、みんなでガムを分け合いながらしのいでいる時、室内練習場に「栄光の架橋」の歌詞が貼られていました。

半年前に監督が貼っていたものでしたが、この歌詞が避難した人たちにとって特別な意味をもつようになります。その後、高田高校の校舎は全壊し、グランドは仮設住宅が建ったため、野球部の部員たちは県内外のグラウンドを転々としながら練習していました。

練習することに疑問をもった時期もあったそうですが、避難の時に助けた住民たちがその野球部を応援するようになったというエピソードもあります。

できることは寄付だけではない

ゆずのお二人は、寄付活動以外にも現地でライブを行ったりもしていました。

寄付は復興支援の大事な資源となりますが、歌詞をみたり、一緒に歌ったりすることでも、大きな勇気や希望をもらえることがあります。もしかすると、心に届く勇気や希望は、寄付以上の大きなパワーになっているかもしれません。

ゆずの活動を聞いて、支援の方法や可能性の大きさを知ることができました