この世界の片隅にとは?

『この世界の片隅に』はこうの史代さんによる日本の漫画であり、 『漫画アクション』で2007年~2009年まで掲載されていました。また2016年にはアニメーション映画化されています。内容は昭和19年に広島市江波から呉に18歳で嫁いだ主人公すずが、戦時下の困難の中にあっても工夫を凝らして豊かに生きる姿を描いたものです。

当初は日本国内63館で封切られた本作品ですが、その後反響を呼び公開規模を累計484館まで拡大。1133日連続でロングラン上映され、これは日本国内の映画館における中断日のない連続上映としては洋画・邦画含めて史上最長を記録しています。累計動員数は210万人、興行収入は27億円を突破し、ミニシアター系作品としては異例のヒット作品となりました。また、本作品は第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞しています。

『この世界の片隅に』のイラスト入りTカード 手数料を寄付

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『この世界の片隅に』は戦時中を描いた作品というだけあって、関係する機関や団体、人によって多くのチャリティー活動が行われています。2017年には『この世界の片隅に』のBlu-rayとDVDが発売されることを記念して、『この世界の片隅に』のイラスト入りTカードが発行されました。また本Tカードを発行した人への限定特典として、抽選で合計4名に『片渕須直監督直筆サイン入りプレスシート』が当たるプレゼント企画も用意されたそうです。

この『この世界の片隅に』限定のTカードにおける発行手数料は『広島市原爆ドーム保存事業等基金』に寄付されました。

チケット売り上げ全額をウクライナの人道支援へ寄付

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『この世界の片隅に』を上映していた益田市あけぼの東町の映画館『Shimane Cinema Onozawa』では、本作品のチケット売り上げの全額を、ユニセフなどを通してウクライナへの人道支援に寄付することを明らかにしています。今回の寄付について、和田浩章館長は以下のようにコメントしています。

『ロシアから侵攻を受け、物資不足が伝えられるウクライナに、少しでも手助けがしたい』

『映画館は想像力を与える場所。ウクライナが一刻も早く平穏な日常を取り戻せるよう願いを込めて上映している』

また、同館には『ウクライナのために役立ててほしい』と寄付をした方も多かったそうです。

『この世界の片隅に』原作者が主人公のモデルとなった場所へ寄付

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『この世界の片隅に』の原作者であるこうの史代さんによる、主人公すずが暮らす家のモデルとなった呉市畝原町への寄付も話題となっています。作品のモデルとなったこの土地は、こうの史代さん祖父母宅があった土地だそうです。原作や映画ではすずの嫁ぎ先として描かれ、木造平屋がほぼ忠実に再現されていましたが、現在は更地の状態になっています。しかし、映画のヒット後この住宅跡を訪れる人が増えたそうで、こうの史代さんは『受け入れ態勢を整えてほしい』と2017年に土地を寄付しました。この寄付を受け市は『すずさんに逢(あ)える丘』として、こうの史代さん意向を聞きながら

・かつて家があった箇所をコンクリートブロックで固める

・台所や風呂場などの間取りが分かるようにする

・庭先には花壇を造り、印象的な場面で登場するタンポポを植える

・近隣住民に配慮してフェンスも設ける

等の整備をする予定だそうです。

これらの取り組みについて、こうの史代さんは以下のように想いを述べています。

『物語の世界を身近に感じることができて、気軽に立ち寄れる場所になってほしい』

まとめ

いかがでしたか。『この世界の片隅に』はすずが戦時下の困難の中にあっても工夫を凝らして豊かに生きる姿を描いた作品です。本作品によって、平和に過ごせる日常の素晴らしさに気づいたり、戦争で苦しんでいる人々への支援に取り組んだ方も少なくはないでしょう。日本のアニメーション映画史上に大きな記録を残した本作品によって、今後もこういった支援の輪が広がっていくことを願います。