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6月28日公表の厚生労働省の統計によると、昨年1年間で大麻取締法違反で摘発されたのは5,783人(前年比523人増)で、5年連続で過去最多を更新しました。

摘発者の7割が30歳未満で、20歳未満は初めて1,000人台に達したようです。

この記事は「居場所のない若者」というテーマの連載記事の2本目として、若者の間で急増している大麻の乱用について、その実態を紹介します。

現代の若者の間で横行している大麻について、気になる方はぜひチェックしてみてください。

若年層の間で大麻の乱用が急増

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厚生労働省の統計によると、2021年の薬物事件の摘発者数は横ばいが続くものの、大麻事件の摘発者数は8年連続で増加しており、2013年と比較すると3.6倍まで増加したようです。

特に若年層の間で急増しており、30歳未満は同年比で5.5倍、20歳未満は16.4倍と、大幅にその数字を伸ばしています。

20歳未満の中には高校生が189人、中学生も8人いたとのことで、より若い世代でも大麻が流行しつつあることがわかります。

厚労省「若者が安易に大麻に手を出しやすくなっている」

SNSの普及に伴い、インターネット上やSNSでは隠語を使った大麻の密売が横行しているようです。

このような事実を裏付けるように、新聞やテレビで若年層の大麻使用による摘発の報道も年々増加してきています。

厚生労働省は「若者が安易に大麻に手を出しやすくなっている」と指摘しており、取り締まりの強化や啓発活動を進める方針です。

「大麻」とは何か

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そもそも世間でいう「大麻」とはどのようなものなのでしょうか。

大麻は別名「マリファナ」とも呼ばれ、大麻草の花や葉から抽出された幻覚作用があるテトラヒドロカンナビノールという成分を含むものを指します。

草を乾燥させたもののほか、濃縮させた樹脂(ワックス)や液体大麻(リキッド)も出回っています。

大麻の危険性の認識は薄い

若者の間で大麻が流行している原因の1つとして、大麻の危険性が十分に認知されていない点が挙げられています。

麻薬取締法は1948年に施行されましたが、現在はガンや、睡眠障害、抗うつ剤、抗けいれん剤など医療用に研究が進められ、海外では合法化されている国もあります。

国内でも認めるよう訴える声が多数挙げられており、法規制に反対を表明する著名人も現れています。

警視庁の調べによると、大麻所持の疑いで摘発された748人のうち、半数以上が「好奇心や興味本位」が動機だと回答しています。

危険性の認識は「全くない」が36.6%、「あまりない」が41.6%で、計78.2%となっています。

また、危険性について「大いにあり」は2.5%、「あり」は14.2%と計16.7%にしかなっていないのが現状です。

大麻取締法をめぐる動き

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現在、日本の大麻取締法は大麻の栽培や輸出入、所持、譲渡、譲受を原則禁止しており、無許可で栽培や輸出入をした場合は7年以下(営利目的の場合は10年以下)、所持や譲渡、譲受した場合は5年以下(同7年以下)の懲役が科されます。

現行の大麻取締法は使用を罰する規定がなく、所持していることが認められなければ大麻の使用は罪に問われない仕組みになっています。

大麻使用が罰せられないことが乱用を助長しているとの指摘もあり、厚生労働省の審議会では使用罪の創設に向けた議論が行われています。

名門運動部での大麻を巡る問題

2020年では、東海大野球部と近畿大サッカー部という名門運動部での大麻使用問題が相次いで発覚しました。

東海大学に「野球部員が大麻を使用している」と情報提供があり、大学の調査によって数人が使用したことを認めたため活動を停止し、監督は辞任しました。

家宅捜索の結果大麻を押収された元部員2人を所持容疑で書類送検したが、横浜地検小田原支部が不起訴処分としました。

近畿大では、サッカー部員からコーチに「大麻を使用している部員がいる」と相談があり、部員5人が使用を認めたようです。

その結果サッカー部は活動を停止し、監督は辞任しました。

家宅捜索の結果大麻は見つからず、所持を裏付けられなかったため立件は見送られました。

ですが使用は認められたため、大学側は退学や停学などしかるべき処分を行ったようです。

コミュニティ内での大麻流行に懸念

※写真はあくまでもイメージです。出典:nishinippon.co.jp

運動部や友人など、若者のコミュニティ内で大麻が流行してしまうことが、摘発件数の増加につながっていると考えられます。

警視庁の調べでは大麻の入手先は「友人・知人」が42.6%、「インターネット」が39.0%を占めており、使用したきっかけは「誘われて」が大多数です。

SNSや部活動などのコミュニティは若者にとっての「居場所」としての役割を果たし、現代では重要な要素の1つです。

それらのコミュニティ内で大麻が流行してしまうと、人から人へと誘惑の手が広がっていくことは容易に想像できます。

SNSの影響もあり、現代では流行があっという間に広がっていきます。

いかにしてこの流れを断ち切るのか、または流行に乗らない姿勢を示すのかが、現代を正しく生き抜くポイントなのではないでしょうか。