アウトドアブランドとして根強い人気を誇るパタゴニア。

実はSDGsに積極的に取り組んでいる企業でもあるんです。

そんなパタゴニアの、持続可能な社会に向けた想いに迫ります。

そもそもSDGsとは

そもそもSDGsとはどのようなものか。

テレビやネットニュースなどで目にする機会は多いものの、正確な意味を理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。

SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。

国連に加盟している193カ国が、2030年までに達成すべき目標を2015年9月の国連サミットで採択したものです。

貧困やエネルギー問題、気候変動などの17個の問題を解決するための169の具体的なターゲットが示されています。

パタゴニアとは

パタゴニアは、1970年にイヴォン・シュイナードがアメリカで創業したアウトドアブランドです。

創業者のイヴォン・シュイナードはクライミングの際に岩に打ち付けるピトンで、岩場を破壊していることに心を痛めていました。そこで、もともとのピトンを改良し、事業を起こしたのがパタゴニアの始まりです。

このことからも、パタゴニアという会社の根底部分に「環境保全」があることがお分かりいただけるのではないでしょうか。

パタゴニアのSDGs

パタゴニアの事業の根底部分に「環境保全」が根付いていることはご理解いただけたかと思います。

では、実際にどのような活動を行っているのでしょうか。

主な活動内容は以下の3点です。

・消費を考える

・自然環境保全活動

・農業・再生可能エネルギーへの取り組み

一つずつ解説していきます。

消費を考える「このジャケットを買わないで」の広告

出典:www.patagonia.jp

2011年、アメリカの小売市場は、2008年のリーマンショックの影響から抜け出せていませんでした。

この年のクリスマス商戦。小売業界はあの手この手で自社の商品を買ってもらおうと広告を出し競い合っていました。

そんななか、ニューヨーク・タイムズに「このジャケットを買わないで」と大きく書かれた広告が掲載されました。

広告の下の欄には、パタゴニアの商品の環境への影響が詳しく記載されていたり、自社商品の中古品を取り扱っているお店の紹介をしたり。消費者の購買意欲を削ぐような内容でした。

この広告は、人間の消費行動が環境へ与える影響を人々に伝えることが目的の、パタゴニアの「コモン・スレッド」という取り組みの一環です。

パタゴニアは、素材や生産による環境への負荷を抑えるために、高い基準を設定しています。それでもなお、パタゴニアの製品が廃棄物やCO2を排出しており、その商品を購入することは、環境破壊につながるということを訴えているのです。

現在、日本国内では、製造されたアパレル商品の約50%は販売されることなく破棄されていると言われています。パタゴニアは、「WORN WEAR(新品よりもずっといい)」という考えを展開しています。再利用や修理をすることで、新品を購入するのではなく、自社商品を長く愛用してほしいという思いも込められています。

自然環境保全「売上高の1%の寄付」

出典:www.patagonia.jp

パタゴニアは1985年から現在まで、年間の売上高の1%を自然環境の保護、回復のために環境保護団体に寄付しています。この寄付は、会社が儲かっているか否かに関わらず必ず毎年行われています。

この取り組みによって寄付した額は、現金、現物を合わせて1億4000万ドル以上に達しました。

また、2016年には、アメリカのクリスマス商戦のスタートである、11月の第4金曜日(ブラックフライデー)の売上を環境保護団体に全額寄付しました。

アメリカの国定記念物指定保護地域である「ベアーズイヤーズ」と「グランドステアケースエスカランテ」を、当時のトランプ政権が、石油、天然ガス、ウランの採掘のために大幅縮小することを発表。この時パタゴニアは、先住民らと連携し、トランプ政権を訴える行動を起こしました。「大統領が私たちの土地を盗んだ」というキャンペーンを開始し、話題になりました。

「農業」「再生可能エネルギー」への取り組み

出典:www.patagonia.jp

パタゴニアは、アパレルだけでなく、オーガニック食材を使った食品の販売を行っています。有機農業を広げることと、健全な土壌を回復するための、環境再生型農業の普及にも力を入れています。

また、再生可能エネルギーの拡大を目指して、一部店舗で太陽光パネルを設置する活動も行っています。

まとめ

いかがでしたか?

パタゴニアは日本でもとても人気のあるアウトドアブランドでありながら、SDGsにも積極的に取り組む企業であることが分かっていただけたかと思います。

創業者の強い想いが、現在まで脈々と受け継がれてきているということこそが、世界中で愛され続ける理由のひとつなのかも知れません。

安易に低価格の衣類を頻繁に購入するのではなく、本当に気に入ったものを長く愛用することも、立派なSDGsなのですね。